轟焦凍５ ページ47
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Aの言葉に焦凍は目を見張る。
『私も、轟君のことが好きです』
頭の中に広がるAの声。
湧き出る感情を抑えきれず、Aの両手から手を抜き取って目の前の体を抱き寄せた。
「と、轟君っ！？」
耳元で驚いたAの声がする。
抱きしめた体は緊張で固まっていた。
「俺は……Aを好きでいて、いいんだな……」
「え……っ、は、はい！」
ちらりと横目で様子を伺えば、Aの顔はどんどん赤くなっていった。
困ったように眉尻を下げて答える、そんな姿も可愛いと思えた。
爆豪の手に口を寄せる姿を見て、謂れのない感情が焦凍を支配した。
ふつふつと腹の底から沸き上がる、怒りのようなもの。
自分以外の人間に『治癒』の個性を使おうとしたことへの不満。
Aにとっては善意でやっていることだと分かっているのに、その行為を思わず引き止めてしまった。
ああこれが嫉妬なんだなと理解したのは、爆豪と妹の顔を見た時。
やっと見つけたAの姿がそれだったので、余計に感情を強く表に出してしまっていた。
突如、静かな空間に着信が響いた。
「……っ！」
「……！？」
音に驚いた２人は弾かれたように身を離した。
音の出所はAのスマホだ。
「あ……お婆ちゃんからだ。ちょっとすみません」
リカバリーガールからの着信らしい。
断りを入れて通話を開始した。
「もしもし。────え？ あ、うん分かった……」
通話が終わったAは焦凍を見上げた。
「すみません、保健室に手伝いにいってきます」
「治療をか？」
「はい。個性の強化と勉強を兼ねて」
「……」
「轟君？」
焦凍はAに手を伸ばし、頬を包むよう触れた。
親指の腹で柔らかい唇をゆっくり撫でる。
「あの……」
「こっちの個性もか？」
「え？ 必要とあればですけど…………あ、大丈夫ですよ」
Aは焦凍の言いたいことを理解したようで、照れたように笑った。
「轟君のおかげで場所は関係ないって分かったので、患者さんには手首にしかしません」
「……そうか」
もう片方の手を腰に回して引き寄せる。
そっと顔を近づけると、Aは静かに瞳を閉じた。
重なる唇はあたたかくて優しい。
個性を使ったのか？と思うほど、自分に癒しをもたらしてくれるものだった。
その唇は自分のためだけに……なんて思うのは強欲だろうか。
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moeka(プロフ) - こちらの続編と轟兄妹との絡みを希望します。ぜひ検討して下さると嬉しいです。楽しみに待ってます。 (2021年6月28日 22時) (
レス) id: d61ed9781e (このIDを非表示/違反報告)
silver - どっちも好きですが、こっちが好き！ 続編を希望します！ (2020年11月7日 15時) (レス) id: 0515bcf5a2 (このIDを非表示/違反報告)
麗奈(プロフ) - 私はどちらかと言えば癒月ちゃんの話の方が好きです。こちらの続編を希望します！ (2020年3月23日 5時) (レス) id: acabdf4bd5 (このIDを非表示/違反報告)
ヨシ - 爆豪の方も、こちらの話も、好きです！更新頑張ってください！ (2018年12月5日 21時) (レス) id: 26236bbcfc (このIDを非表示/違反報告)
りんごあめ(プロフ) - 私癒月ちゃんの方が好きかもです。 是非続編希望します。この作品が、シリーズの中で一番好きです！ (2018年11月11日 0時) (レス) id: 949b3c86b7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瑪瑙
| 作成日時：2018年7月21日 1時
