ナチュラルに ページ41
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血が流れる膝を見て自覚した途端に痛みを感じた。
鈍くヒリヒリした感覚がAを襲う。
熾雪は「あああぁ……どうしようっ」と大げさに声を上げて、きょろきょろと何もない教室を見回していた。
「とりあえずここに座って」
と、Aの手を引いて近くの椅子に誘導した。
お礼を言ってスカートに血が付かないように気をつけて座る。
「氷なら出せるけど……溶かして１回水で洗う？ あ、それよりも保健室に行った方がいいよね？」
「えっと……」
「歩ける？ 痛いよね？ どど、どうしよう……勝己君！ Aちゃんを保健室に連れてってあげて！」
ばっと爆豪の方に振り向いてAを運ぶように頼んだ。
「──ケッ、誰が」
「もう〜〜！」
「テメー、仮免試験の二次でほぼ満点とったんじゃねーのかよ。なに慌ててんだ」
「試験と現実は違うんだよ〜〜！ あと、他人なら冷静に判断できるけど、知り合いとか身内の場合はそう簡単にはいかないの！」
「へいへい、そーかよ」
「なにその適当な受け答え！」
はンッ──と鼻で笑われた熾雪は、ぽかぽかと爆豪の右肩を叩いていた。
不快な顔をせず、彼女との会話を楽しみながら攻撃を受け止める爆豪の表情は、考えられないくらい『彼氏』のものだった。
(あの……ナチュラルにイチャつくのやめてもらえませんか……)
目の行き場に困るし、たった今失恋してきた身には辛いものがある。
噂で２人が仲違いしていると耳にしたような気がしたが、ただの噂のようだ。
「あの、熾雪さん。大丈夫ですから……」
「こここ、これが！？ 無理しなくて良いんだよ？」
「見た目ほど酷くないですよ」
熾雪は「本当に？ 無理してない？」と繰り返す。
本人以上に痛そうな顔をしてオロオロする様子が可愛くて、思わず笑ってしまった。
「大げさなんだよ、てめーは。ほら根暗女も笑ってんぞ」
「まーたそうやって他人に不名誉なあだ名をつける〜。Aちゃんに失礼でしょ」
「誰をどう呼ぼうが俺の勝手だろ──クソ女」
「そうですね──“爆豪”君」
再びカップルの会話がはじまった。
悪名高い爆豪に臆することなく応戦できる熾雪はすごいと感心しつつ、Aは自分の膝を見下ろした。
(これくらいの傷なら……)
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moeka(プロフ) - こちらの続編と轟兄妹との絡みを希望します。ぜひ検討して下さると嬉しいです。楽しみに待ってます。 (2021年6月28日 22時) (
レス) id: d61ed9781e (このIDを非表示/違反報告)
silver - どっちも好きですが、こっちが好き！ 続編を希望します！ (2020年11月7日 15時) (レス) id: 0515bcf5a2 (このIDを非表示/違反報告)
麗奈(プロフ) - 私はどちらかと言えば癒月ちゃんの話の方が好きです。こちらの続編を希望します！ (2020年3月23日 5時) (レス) id: acabdf4bd5 (このIDを非表示/違反報告)
ヨシ - 爆豪の方も、こちらの話も、好きです！更新頑張ってください！ (2018年12月5日 21時) (レス) id: 26236bbcfc (このIDを非表示/違反報告)
りんごあめ(プロフ) - 私癒月ちゃんの方が好きかもです。 是非続編希望します。この作品が、シリーズの中で一番好きです！ (2018年11月11日 0時) (レス) id: 949b3c86b7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瑪瑙
| 作成日時：2018年7月21日 1時
