八百万百２ ページ36
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八百万は期末試験あたりから轟を意識していた。
自分に掛けてくれた言葉が嬉しくて、自身を取り戻すきっかけをくれたことに、とても感謝している。
彼に対する信頼感のようなものを抱いていることを、八百万は自覚していた。
そんな轟に恋愛相談──……
(つまり、轟さんに頼られてるってことですよね……！！)
相談の内容や人選の理由は置いておいて。
戦闘訓練でも精神的にも助けてもらっていた八百万は、彼の悩み解決に貢献できることが嬉しかった。
(ここはできる限りの協力を……！)
瞳を輝かせながら、気合いを入れて向かいの轟に視線を向ける。
「轟さんは、ご自分がその方に対してどのような感情を抱いてるのかを、明確にしたいわけですよね？」
「まぁ、そういうことだ」
「私の個人的な意見ですが、好きでもない方に対してキスしたいなんて思いません」
「そう、なのか……。やっぱり、俺は……」
口元を手で覆いながら戸惑いを見せる轟を見て、八百万は微笑んだ。
それがまるで、ある人物と同じように見えたからだ。
「ふふ……」
「なんだ？」
「あ、いえ。熾雪さんも自分の気持ちに気づくまでに、随分と時間を要してらっしゃったので……」
無理矢理ではあったが、Ａ組の女子で自覚するように誘導したことを思い出した。
「そういえば……“言葉にしてみたら実感が湧くかも”と葉隠さんがおっしゃってましたね」
「言葉に……？」
“試しに告白してみれば？”のセリフは不適切だと窘めたが、その後のセリフは試してみる価値があるのではないか。
そう思って提案してみた。
「轟さんはその方が好きなんですよね……？」
本人に自覚させるように問いかける。
質問された轟は視線を落として目を閉じた。
静かな空間の中、八百万は彼を見据えて答えを待った。
「…………ああ、好きだ」
ゆっくりと噛み締めるように轟は口にした。
心なしか頬が染まっている。
こんな貴重な轟を独り占めして良いのだろうか。
許されるのであれば写真を撮って皆と共有したい。
八百万はぱぁっと笑顔を作って、“任務完了ですわ！”と心の中でガッツポーズを作った。
「ちなみに、相手に許可なくキスしてしまったんだが……」
「……っ！？」
八百万は驚きのあまり呼吸を乱し、飲んでいた紅茶が気管に入って咽せてしまった。
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moeka(プロフ) - こちらの続編と轟兄妹との絡みを希望します。ぜひ検討して下さると嬉しいです。楽しみに待ってます。 (2021年6月28日 22時) (
レス) id: d61ed9781e (このIDを非表示/違反報告)
silver - どっちも好きですが、こっちが好き！ 続編を希望します！ (2020年11月7日 15時) (レス) id: 0515bcf5a2 (このIDを非表示/違反報告)
麗奈(プロフ) - 私はどちらかと言えば癒月ちゃんの話の方が好きです。こちらの続編を希望します！ (2020年3月23日 5時) (レス) id: acabdf4bd5 (このIDを非表示/違反報告)
ヨシ - 爆豪の方も、こちらの話も、好きです！更新頑張ってください！ (2018年12月5日 21時) (レス) id: 26236bbcfc (このIDを非表示/違反報告)
りんごあめ(プロフ) - 私癒月ちゃんの方が好きかもです。 是非続編希望します。この作品が、シリーズの中で一番好きです！ (2018年11月11日 0時) (レス) id: 949b3c86b7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瑪瑙
| 作成日時：2018年7月21日 1時
