逆個性婚 ページ22
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あれからたまに轟が工房に顔を出すようになった。
昼休みだったり、放課後だったり。
ちなみに熾雪は夏休みの課題が終わってからぱったりと来なくなった。
轟曰く、放課後は爆豪と過ごしているらしい。
妹をとられて寂しいという兄の顔をしていた。
「昨日の仮免補習、親父と熾雪が見に来てた」
「そうなんですか」
相づちを打ちながら誰かが作った失敗作に両手を触れる。
他とくらべて随分と大きい。
個性を発動させると、それを形成していた部品が床に散らばった。
「親父のことは……まぁ、許せねぇが少しずつ理解できるようになりたいとは思ってる……これ、そっちにまとめて置いておくぞ」
「あ、はい」
種類ごとに拾い集めつめていると、轟も片膝をついて一緒に拾いはじめた。
「轟君のご両親は個性婚なんでしたっけ……？」
「……ああ」
「うちとは逆ですね」
「は？」
轟はネジを拾い上げる姿勢で固まった。
意味が分からないという顔をして、「逆？」と口だけ動かしていた。
「私の両親の結婚は親族から強く反対されていたんです。個性の関係で」
「『癒し』と『破壊』だったな。……逆ってそういうことか」
「はい。個性が殺される恐れがあるって……特に父方の親族は酷かったらしいです。『別れろ別れろ』って……何度も」
それを耳にしたのはAが中学生なった頃だ。
父の故郷へ戻ったはいいが、親戚から聞こえてくる両親の話は信じがたいものだった。
「お金を積んで母に頼みにいったとも聞きました。そのお金でどこか遠くで暮らしなさいって」
「なんだ……それ」
「でね──」
怒りの表情を浮かべる轟とは裏腹に、Aはくすくすと笑ってみせた。
「お母さんったら、そのお金を受け取ってお父さんと駆け落ちしたんですよ。すごいですよね〜」
「……」
「あまりにもポジティブな発想に皆、諦めたらしいです」
思い切って母に聞いたところ、当時のことを笑ながら語ってくれた。
彼女の中では懐かしい思い出となっているようで、話を聞いたAも安心できた。
「まぁ、結局は連れ戻されることになったんですけどね」
「なんでだ？」
「それはですね……」
床に落ちていた部品を全て拾い終えたので、次の失敗作を手にとった。
「私が産まれた……いえ、“私が産まれていた”からです」
「は？」
ぱっと光って手ひらの感触が変わった。
隣にいる轟を見上げれば、またしても驚いた顔をしていた。
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moeka(プロフ) - こちらの続編と轟兄妹との絡みを希望します。ぜひ検討して下さると嬉しいです。楽しみに待ってます。 (2021年6月28日 22時) (
レス) id: d61ed9781e (このIDを非表示/違反報告)
silver - どっちも好きですが、こっちが好き！ 続編を希望します！ (2020年11月7日 15時) (レス) id: 0515bcf5a2 (このIDを非表示/違反報告)
麗奈(プロフ) - 私はどちらかと言えば癒月ちゃんの話の方が好きです。こちらの続編を希望します！ (2020年3月23日 5時) (レス) id: acabdf4bd5 (このIDを非表示/違反報告)
ヨシ - 爆豪の方も、こちらの話も、好きです！更新頑張ってください！ (2018年12月5日 21時) (レス) id: 26236bbcfc (このIDを非表示/違反報告)
りんごあめ(プロフ) - 私癒月ちゃんの方が好きかもです。 是非続編希望します。この作品が、シリーズの中で一番好きです！ (2018年11月11日 0時) (レス) id: 949b3c86b7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瑪瑙
| 作成日時：2018年7月21日 1時
