リスク ページ19
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轟はAが傷を癒すまで手を離すつもりはないらしい。
Aは困った顔をして彼の顔を見た。
「右手の『癒し』の個性、すっごく時間がかかるんです。だから……」
「時間？ 俺を治した時にやったリカバリーガールのやり方は？」
「……あれは緊急時だったので」
「今も緊急だろ？ すぐに治さねぇと跡が残る」
今度はAが説得される番だった。
轟は祖母と同じやり方を推奨しているが、できない理由がある。
「……私、お婆ちゃんと違って相手が回復するのに必要な体力分、疲れが出ちゃうんですよ」
「は……？」
「まだまだ修行不足なだけなんですけど……」
同じ個性を持った祖母と父も昔はそうだったらしいが、早い段階で克服できたみたいだ。
しかしAはまだそのデメリットを背負っている。
「そのリスクがなくなるまで、相手の傷の程度が分からないうちは使うなって……」
それは己に対してもと言われていた。
轟は驚いた表情を見せた後、ずいっとAに詰め寄った。
「じゃあ、この前は大丈夫だったのか？」
「はい。あの程度なら」
「本当か？ 本当なんだな？」
「…………少し、寝込みました」
目を細めて確認する轟を見たAは、誤魔化しの言葉を訂正してしまった。
「……悪ぃ」
「え？」
「無理させちまったな」
「い、いえ！ もともとあれは私が悪いんですからっ！ 気にしないでくださいっ」
轟の謝罪にぶんぶんと首を横に振りながら言った。
Aの髪が首の動きに遅れて左右に揺れる。
「明日」
「はい？」
「明日、確認するから。ちゃんと治しておけよ」
「えっと……はい、分かりまし──……ええ！？」
轟はAの手のひらに、触れるか触れないかの口づけを落とした。
＊＊＊＊
「A、手」
「はい？」
翌日、轟は工房を訪れるなり右手を差し出してそう言った。
その動作から「お手」と言われたのかと勘違いして、Aは反射的に右手を重ねた。
「違ぇ」
「え……っ」
違うと言われてAはびくっと体を震わせる。
その反応に轟は口元を緩ませて笑っていた。
「左手。ちゃんと治ってるか確認する」
「あ、そういうことですか……どうぞ」
重ねていた右手をどけて、包帯のない左手のひらを上に向けて置いた。
(何やってんのよ私……)
顔がこれ以上なく熱い。
絶対に赤くなっている。
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moeka(プロフ) - こちらの続編と轟兄妹との絡みを希望します。ぜひ検討して下さると嬉しいです。楽しみに待ってます。 (2021年6月28日 22時) (
レス) id: d61ed9781e (このIDを非表示/違反報告)
silver - どっちも好きですが、こっちが好き！ 続編を希望します！ (2020年11月7日 15時) (レス) id: 0515bcf5a2 (このIDを非表示/違反報告)
麗奈(プロフ) - 私はどちらかと言えば癒月ちゃんの話の方が好きです。こちらの続編を希望します！ (2020年3月23日 5時) (レス) id: acabdf4bd5 (このIDを非表示/違反報告)
ヨシ - 爆豪の方も、こちらの話も、好きです！更新頑張ってください！ (2018年12月5日 21時) (レス) id: 26236bbcfc (このIDを非表示/違反報告)
りんごあめ(プロフ) - 私癒月ちゃんの方が好きかもです。 是非続編希望します。この作品が、シリーズの中で一番好きです！ (2018年11月11日 0時) (レス) id: 949b3c86b7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瑪瑙
| 作成日時：2018年7月21日 1時
