私を変えてくれたのは5人の先生。RESTART13 (ページ14)

今日:24 hit、昨日:8 hit、合計:108,394 hit

＃６３９ページ14

翔side

…なんでいきなり、

握ってぐしゃぐしゃになってしまった紙には「さようなら」の文字だけ。

でも、財布もスマホも持っているはずだから。

きっと…いや、絶対に見つかる。

外来が終わってすぐにAのスマホに電話をかけた。

1コール、2コール、3コール…

繋がらない。

ねえ…

死ぬことを願ってなんかいないよね？

Aはまだ生きているよね？

考えたくはないけど嫌でもその可能性が浮かんできてしまう。

もう、Aのことひとりぼっちになんかさせないから…

だから、どうか……

雅「翔ちゃんっ！Aがっ…！」

タイムリミットギリギリの16時半、松潤から見つかったと朗報が。

良かった…と胸をなでおろした途端、聞きたくない言葉が鋭い槍のように突き刺さる。

雅「カッター、持ってたらしくて…」

なんで…

おかしくなりそうな頭を働かせて耳から入ってくる情報を整理する。

雨の中、自分の太もも目掛けて何度も何度もカッターを振り下ろしたそうだ。

見つかったのはここからかなり離れていた。

でも…Aにとって俺らにとって思い出の場所だった。

いつか、6人で笑っていた…Aが死のうとしたあの海だった。