無色透明

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「A、ほんとに体調は大丈夫なの？」



退院してから一週間



未だに母は私の体調を何度も気にかけてくれている




私は玄関で靴を整えてからニッコリと満面の笑みを浮かべた




「大丈夫。心配しなくてもすっかり元気だよ？」




「でも、またこの前みたいに急に倒れたりしたらと思うと心配で…」



そう言って俯く母はいつもよりどこか元気がない


私のせいでこんな顔をさせてると思うと
申し訳なくて心苦しくなる



「…確か、今日はてつやくん達と遊びに行くんだっけ？」




「うん、そうだよ」




「どこに行くの？」




「え？！それは秘密…かな。また帰ってきて話すよ、じゃあ行ってきまーす」





お母さんにあれこれと深堀されないように
私は逃げるようにして家から出る





今日は前からみんなと話してやりたいと言っていた鬼ごっこをする日だった




それもただの鬼ごっこじゃない
このゲームで勝った人はその人の願いを
何でもひとつ叶えるという無理難題のものになっている






もし勝ったら何お願いしようかなぁ
そんなことを考えながらワクワクする




待ち合わせは、としみつからメールで送ってもらった地図を頼りに歩く






家から電車やバスを乗り継いで一時間









え、ここって…








ようやく着いたその場所は見間違えるはずもない
高校時代に通っていた学校だった














「A」











後ろからとしみつの声が聞こえて振り向く



それと同時にクラッカーが鳴って視界一面に
花びらが舞う





そこには虫さん、りょうくん、しばゆー、ゆめまる、てつや、皆が集まっていた





「これ…桜の花びら？」





でも今の季節は夏だ
桜なんて咲いてるわけ…




不思議に思い、拾ってよく見てみると
それは桜の花びらの形をした紙吹雪だった






「お前の好きな花、桜くらいしか思い浮かばなかったから俺たちからのちょっとしたサプライズだよ。まぁ、季節外れだし本物手に入れるのは無理だったけどな」













もう来年まで見れないと思っていた桜


懐かしい校舎にかけがえのない仲間





一筋、涙が頬を伝った

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