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Ken side
リ「小島、なんか最近元気なくない？」
「小島くんが元気なほうが心配ちゃいます？」
リ「言われてみればそうかも」
別に元気がないわけやなくて、ずっと答えの出えへん考え事をしてるだけや。
Aにほしいものを聞いて、もう一週間も経った。なんと明後日はもうあいつの誕生日。
しかもめずらしいことに、個人の仕事が増えてプレゼントを買いに行く暇がない。ありがたいけどさあ。
ネットで頼むなら、今日がタイムリミットや。最悪、誕生日当日はオフやから、朝から走り回るしかない。
佐「Aちゃん、はい！ちょっと早いけど誕生日おめでとう！」
「えー！うそやん！うれしい！」
佐「僕、明日明後日東京やから今日しか渡せるときなくて」
「ええんやで、お仕事やねんから！がんばってきてな。開けてもいい？」
佐「うん！」
うれしそうなAの手には、あいつが好きそうなビビッドカラーの入浴剤。袋からは出してへんのに、こっちにまでええ匂いが漂ってくる。
なるほど。あいつめっちゃ風呂入るもんな。晶哉もしっかりリサーチしとったってことか。
小「なあ誠也くん」
末「ん？」
小「女の子にプレゼント渡すときって、何あげます？」
末「…『女の子』が全然仕事しとらんけど。まあ、花とかアクセサリーが無難ちゃう？あとは佐野みたいに美容系のもんとか」
小「ですよねえ」
実は、目をつけているアクセサリーがある。
でも、別に彼氏でもないのにアクセサリーは重いんかなとか考えてしまって。
それならもう、なんかの漫画全巻とか、家にあったらちょっと迷惑なくらいデカいぬいぐるみとか、そういうほうがええんちゃうかな、なんて。
プレゼントをあげるのは初めてじゃない。やのに、なんか今年は特別なことをしたかった。
たぶん、“特別”になりたいから。
末「小島はAと仲ええやんか。しかもうちのリーダーやん」
小「まあ、そうですけど」
末「やからさ、あいつはたぶん何あげても喜ぶで。特におまえからなら」
いつもマウントとってくるくせに、そういうことはわからへんのやな。
そう言った誠也くんは、ニヤニヤしている。いけずな人やなあ。やけど、ほんまそのとおりや。あいつのことなら、なんでもわかると思ってた。
花が好きなことも、知らんかったのに。
煽られて、ってのは癪やけど。今回ばっかりは最年長に感謝。
俺はようやく、注文確定ボタンを押すことができた。
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作者名：リリー | 作成日時：2021年6月4日 19時
