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you side
福「ごめんA。なんも気づけへんかった」
そう言ってわたしを抱きしめる大晴くん。
ちゃうねん、わたしも気づいてへんかってん。女の子何年目やねんってかんじやんなあ。
そう言いたいのに、涙がこぼれて喉がつまる。大晴くんのガッシリした腕の中とか、頭に当たるあごとか、ほんのり香る甘い香水の香りとか
すべてが心地よくて、涙が止まらへんかった。
流「水持ってきたで〜って…お邪魔しました」
福「ちゃう！ありがとう流星！戻らんとって！」
「流星くんごめん、ありがとう！」
涙をロンTの袖でぬぐって、鎮痛剤を水で流し込んだ。もちろんすぐには効かんけど、「薬飲んだ」って事実だけでなんとなく痛みがマシ。単純な脳みそで助かるわ。
「流星くん、ほんまにありがとね！めっちゃマシになった」
福「そんなわけあるか」
流「アホなん？でもまあ、よかった」
「プラシーボ効果ってやつよ。でもほんまに、お騒がせしてしまいましてすいません…被害がなにわ男子にまで…」
流「ほんまにな。別に迷惑ちゃうけど、体調おかしかったらメンバーに頼らなあかんで」
福「いや、俺らも全然気づかんくて。ごめんな、Aも、流星も」
「ううん、実はわたしも気づかんくて」
流「え！？」
「いやー、ね。気づかんかったんも、泣いてしもたんも、ここだけの話にしとってな」
福「俺らもこれからは意識して見とくから。流星、ほんまにありがとう」
流「なんか、真っ先に気づいたんも恥ずかしいわ」
流星くんがなにわ男子のレッスン室に戻って、大晴くんと2人きり。ほかの5人も心配してるよなあ。いや、小島くんはしてへんかも…。
「大晴くん、戻ろ」
福「休まんで大丈夫なん？」
「ん、ほんまにちょっと楽になったから。泣いてスッキリしたのもあるかも」
ありがとうね。そう言うと、大晴くんはわたしに背を向けてしゃがんだ。
福「乗って」
もう二度と無理なんかさせん。おまえは俺らの大事なメンバーで、女の子やねんから。
そう言った大晴くんの表情はわからんかったけど、耳は真っ赤やった。
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作者名：リリー | 作成日時：2021年6月4日 19時
