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Seiya side
あの日以来、俺は不用意にAに触れへんくなった。触れてしまったら、あの日のことを思いだしてしまうから。
あいつがあの日からなんか変わったかというと、なんも変わらんかった。
キスをした直後、Aは「うわあ！なんか目が！開いた気がする！」「でも思ってたよりこんなもんか」とかなんとか言いながら、新しいチューハイをあけてた。
「いやもう、こんなの初めて！ってかんじ！」
オレンジの味がするキスなんて、俺も初めてやったわ。
小「おはようございまーす」
正「おはようございます〜」
続々と楽屋に現れるメンバーたち。こいつらは、Aのファーストキスが俺やということ以外、何も知らん。
まさか今、あいつらのカバンに入ってるであろうその雑誌が発端のキスやったなんてな。
リ「『an・an』見たで。かわいく撮ってもろてたやん」
「えー！リチャくんありがとう！買ってくれたんすね！」
リ「立ち読みした」
「はい？ほなこれあげます。誠也くん自分で買ってたんで、2冊」
小「誠也くん絶対買ってるおもたわ。どうせコソコソ読んでたんでしょ」
末「そういうおまえも、その重たそうな袋なんやねん」
小「斗亜にあげよおもて多めに買いました」
福「絶対あかん、まだ早いて」
佐「僕も買おうと思ってコンビニ行ったんすけど、売ってなかったんすよね〜」
福「へー！どこのコンビニ？」
佐「このへんのローソンっす」
福「まっさんのあのでっかい袋見てみ」
佐「思いっきり『ローソン』て書いてますね」
正「いやそりゃ買うよ！メンバーが載ってるんやから」
佐「やからって買い占めんでもええでしょ！1冊ください！」
リ「晶哉にもまだちょっと刺激強いから、1冊もろて来年まで寝かしとき」
佐「そんなん拷問や！」
いきなりうるさくなった部屋の中。
みんなと楽しそうにわあわあ言うとったAがふいに俺のほうを見て言った。
「次はみんなで載ろな！」
(その前にもう一瞬だけでええから、見たことないおまえを見せてくれへん？)
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作者名：リリー | 作成日時：2021年6月4日 19時
