あなたに夢中。Ⅰ (ページ26)

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Richard side

『Party-Aholic』のMV撮影も無事に終わり、今日は完成した作品をみんなで見る日。

撮影が終わった直後、Aは気絶したように寝てしまって、どれだけファンやメンバー、スタッフさんのことを考えてフル稼働していたかがわかった。

気絶する前にAが言うた「みんなめっちゃかっこよかったで」という言葉を聞いて、ほかの5人は少し情けなく思っているような表情をしていて。

台本をもらったときに絡みについてあーだこーだ言うてたこいつらは、またAに惚れ直したと同時に、Aのすごさを改めて知ったみたいや。

寝てしまったAをお姫様抱っこで運ぶ大晴の、愛おしさと覚悟がにじみでた顔が印象的やったなあ。

「おはようございます～」

朝から個人仕事を終えて、MV鑑賞会をする部屋に入ってきたAに対して、どこかそっけなく挨拶する男5人。

撮影が終わった日から、こいつらずっとよそよそしいねん。

「リチャくん、最近あの人らおかしないすか？わたしまたなんかやらかした？」

そう小声で俺に問いかける。あいつらどんなけ拗らせてんねん。

リ「いや、やらかしてないで。しいて言うなら思春期かな」

「思春期て。1人アラサーいますけど」

末「誰がアラサーやねん」

なんや、つっこむ元気はあるんやん。Aはそう言いながら、豆乳を飲みつつスマホをいじる。

「豆乳を毎日飲むのは、好きやから。あとふわふわムチムチナイスバディになりたいから！」

そんなふうに言ってた2年前。そしてMV撮影を終えた後の小島の話によると、その成果はしっかり出ていたらしい。

「なんでそんなことわかったんすか？」と佐野が小島に聞いているのを見ながら、ああ、聞かんほうがええのに、と思ってた。

今日のMV鑑賞会のあと、小島は末澤と大晴あたりからどつかれんちゃうかな。