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ybside
久しぶりに一本遅い電車に乗ったらいのおと大ちゃんが仲良く一つのイヤホンで楽しそうに音楽聴いてた。
こいつら相変わらず仲良いな〜
「よぉ」
「「あっやぶ(くん)おはよ〜」」
この2人とは小学生の時同じマンションでよく遊んでた。中学で引っ越して当分会ってなかったけど高校で再開
同じ部活の後輩の光とも仲良くて、俺が2年の時はバンドのメンバーとこいつらで遊んだ事も何度かあった
「朝から仲良いな〜何聴いてんの?」
いのおの耳からイヤホンを取って右耳に入れると軽快な洋楽が聴こえてきた。
これ大ちゃんの趣味だな
「いのちゃん英語の歌詞に変な日本語当てるから全然曲入ってこねーし」
そう言って笑う大ちゃん
あ〜...空耳○ワー的な感じね笑
てこの電車けっこう人乗ってんだけど...朝から何やってんだこいつら笑
恥ずかしいって意識はないのか...
「光が寂しがってっぞ〜
引退夏休み前でも良かったんじゃねーの?まだ他の3年いるんだろ?やぶ頭いーんだし...」
急にいのおが真面目な顔してそう言ってきた
こいつは昔からこういう奴だ。
何にも考えてないようでけっこう周りをよく見てる。
「夏前までやってたらズルズル辞められなくなりそうだろ...文化祭も出たくなるし...俺浪人できねーから今から本気でやらないとヤベーの」
なんか言い訳がましいこと言ってるなって自分でも分かってる。
でも本当のことだから...
やっぱりちゃんと大学に入ってしっかりした仕事に就きたい...
「いいとこ狙ってんだ」
「受かったら教えてやるよ」
「まぁやぶが自分で考えて決めた事なら俺がとやかく言うことでもないし...」
「..........」
そうだよ....簡単に決めた訳じゃない。
俺なりに悩んで出た答え...
でも音楽への未練はタラタラで、自分から引退するって言ったくせにしょっちゅう部室に顔出して歌わせてもらってる。
俺が行くと嬉しそうな光を見ると、自分の居場所はここなんだって思えてくる。
けど...ごめんな光
俺はお前みたいに音楽で食って行く覚悟なんてないんだ。
「まぁ〜たまには気分転換にみんなでカラオケでも行こうよ!なっ!」
微妙な空気を察して大ちゃんがそう言った。
こいつも昔から変わんねーな
天然なとこもあるけど、いつも人に気を遣って誰も傷つかないようにフォローしてる。
「おぅっ」
なんとなくいのおとは気まずいまま俺たちは電車を降りた。
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作者名:みー | 作成日時:2017年3月6日 20時