朱龍の血を引く少女は「高華の獅子」

9話 良い夢 ページ10

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『これで満足ですか……』



ヨ「ええ、もちろん！」



私の腕の中でニコニコの姫様



『早くおやすみなさい。明日は貴方の為に忙しいんですから主役がシッカリしないと』



ヨ「……敬語は要らないわ。昔の様にして」



『無理です。従者なので』




従者が姫に失礼な口を聞いてはいけない(軽口は許して貰おう)





綺麗な姫様と違って私の手は血で染まってる




だから本当は添い寝も嫌なのに




『早く寝てください。自慢のお顔が荒れますよ』




ヨ「それは嫌！」




慌てて布団に潜り込んだ




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ヨ「……エースと寝るとね、とてもいい夢を見るの」




いい夢？




『偶然じゃないですか？』




ヨ「そんな事ないわ！何時もだもの！」




夢……か




いい夢を見た翌日は機嫌よく起きれる



幸せな気持ちになる




でも、悪夢を見たら……




一度、父上と戦に出た時、悪夢を見た




ただでさえ疲労と、血で気分が悪かった時だ





戦に負け、父上が死に、地の部族が滅んだ




高華王国が滅んだ




姫様とスウォン、ハクが血染めで死んだ




恐ろしく、怖く、自分も死んでしまいたいと思った




しかし、跳ね起きると其処は塹壕の中で父上も隣で高いいびきをかいていた




外に出ると、遥か遠くに緋龍城のある街の明かりが見えた




酷く汗をかき、震えている自分の状況からやっと夢だとわかり、涙が溢れた






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ヨ「父上は政務で忙しい。女官は遊んでくれない。構ってくれたのはハクとスウォン、エースだけ」




ヨ「スウォンとはその……ちゃんと話せないし」




姫様はスウォンが好きだからね




ヨ「ハクは意地悪ばっかりだし！」




心が何時までもガキなんです。彼奴は




ヨ「エースも意地悪するけど……母上が居ない私には、一番お母さんだったの」




『姫様、私まだ17です。もう直ぐ18』




一国の姫様である以上、乳母もつくだろうに




ヨ「乳母なんかより、遊んでくれた。教えてくれた。私、エースとずっと一緒がいい！！」



『そろそろ寝ないと、姫様のお嫌いな乳母を呼びますよ』



ヨ「嫌！怖い、怒られる！」



布団を頭まで被せた



おしゃべり姫め！



……ちょっと嬉しいじゃないか！




ヨ「ずっと、一緒に居てね……エース」




ポツリと一言、そして小さな寝息




『それを望むのは貴方だけじゃないのよ………ヨナ』




その言葉はヨナには聞こえない




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