朱龍の血を引く少女は「高華の獅子」

27話 耐えらない ページ29

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スウォン、どうして？





貴方は私のお兄さんの様な存在だった





大事だった、大好きだった





涙が溢れて止まらなかった





「……お覚悟を」





『………』






ああ、姫様は無事に逃げたかな




最後にハクに会いたかった




ハクの笑った顔が頭に浮かぶ




あの笑顔、大好きなんだよなぁ




フッと口元が緩んだ




《もう、そんなもんかよ。ドンクセェな》




《また怪我か。マヌケ》




うるせぇ。バカ




《俺、雷獣。お前は獅子。俺ら2人なら最強だな》




《イル陛下も姫様も2人で守るぞ》




ごめん、イル陛下を守れなかった




それに姫様も守れなかった




代わりに、頼む




《素直になったほうが良い。分かりにくい》




《ちゃんとしたら其処らの女に負けないだろ》




それは褒め言葉と受け取って置く




《俺の相棒なんだ。美人で当然……あ》




あれ程嬉しい言葉は無かった





《背中を任せられるのはお前だけだ






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先に死んだら地獄の果てまでに追っかけて、ぶん殴る》




……嫌だな




《背中は任せた。






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永遠に》





『…勝手にグダグダと…人の人生決めやがって……』




「……何を……！？」




ムカムカして来た




ハクを一発殴らないと気が済まない




腰を落とし、兵の顎に頭突きを食らわし、離れる




刀を拾い、スウォンを向く




一か八かの勝負




勝てば逃げれる




負ければ死




不思議と落ち着いた心で刀を振ろうとした








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ヒュッ




風を切る音がして、スウォンの足元に矢が刺さる



あぁ、待ってたよ




刀を矢と反対の方に投げつけ、目がそれた所で窓をぶち破り、木に飛び移る




かなり減った握力と腕力で辛うじて木に登り、矢を放った主を見て、心から笑った




『ミンス！』



ミ「エース様、よくご無事で！」




安心か怪我か、足の力が完全に抜けた




そのままミンスに倒れ込む




ミ「エース様！っ、酷い怪我……」




『大丈夫だから……少しだけ寝させて……』




心も体もボロボロ




少しだけ、整理したい




『……耐えらんない…』




その言葉を最後に、意識を手放した





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