22話 鱗 ページ23
ハクside
スウォン様に髪紐を渡したのは自分だ
なのに何で腹が立つ
此奴の朱色の髪
暖かい陽だまりの、黄昏の色
この髪のおかげか此奴を見つけるのは簡単だった
空白の三年間、城中で此奴は俺に気付かなくても俺は此奴に気付いてた
日に日に強く、成長し、美しくなる此奴に
役人やスウォン様に向ける笑顔に時たま胸が痛んだ
ああ、その笑顔俺には向けて貰えないだろうか
数日前、やっと出会えて嬉しかった
明らかに三年前とは違う感情にも気付いてた
嫌、昔からの感情にやっと気付いたんだ
朱の髪で輝く韓紅と金
やっぱ、似合うな
一房掬い上げた髪にソッと口付けた
この気持ちが伝わらなくて構わない
ただ、幸せになってほしい
でも、この口付けだけは……
ハ「どうか、お許しください……」
『え、何お前、怖』
俺に背を向けた状態で狼狽えた声
俺の敬語にビビったんだな
ハ「何でもねぇよ」
髪を離す
すると、移動した髪と髪の間に一際濃い朱色が見えた
なんだ?
軽く掻き分けると
.
.
.
.
.
ハ「……鱗」
一房、蛇のような鱗が髪について伸びていた
赤にも近い、燃えるような朱色だ
『……鱗とは?』
ハ「ああ、蛇みたいな鱗が一筋……あ」
顔を真っ青にして振り返る
ああ、しまった
此奴に蛇は禁句だった
『あれが……髪に?』
ハ「あれじゃなくて鱗だ。安心しろ」
『髪に鱗生えて安心する奴何処にいる!?』
袋槍で髪を切ろうとするエースを必死に止める
何とか止めると気分が悪い……とフラフラ城中に歩いていった
念のため、袋槍は取り上げておこう
木の段に腰を下ろし、ため息をついた
ハ「……俺、大丈夫か…?」
エースを無事他人にくれてやる自信がない
多分、嫉妬で暴れそうだ
決して俺のものじゃないけど
ハ「……まだ、好きでいいよな」
俺の声は静かに夜空へ消えていった
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コロコロオムレツ - お久しぶりです。更新再開していこうとおもいます! (2020年2月26日 18時) (レス) id: cf7760df5c (このIDを非表示/違反報告)
蘇芳(プロフ) - 夢主ちゃんとハクとの絡みが好きです!更新お待ちしております。頑張ってください! (2019年12月22日 0時) (レス) id: ec6c109e68 (このIDを非表示/違反報告)
コロコロオムレツ - こんなに沢山のコメント……!嬉しい限りです!ただ、受験勉強もあり、ペースは遅いと思います。けど!まだまだ続き書きますのでこれからもよろしくお願いします!!! (2019年8月8日 0時) (レス) id: 1f0616d418 (このIDを非表示/違反報告)
Rex(プロフ) - 主人公とハクとの絡みがとっても大好きです!!是非とも完結まで書いて頂きたいと思いました!!更新を楽しみに待ってます(^^) (2019年8月7日 16時) (レス) id: 8ecca9012c (このIDを非表示/違反報告)
羽琉(プロフ) - 更新待ってます!! (2019年6月21日 21時) (レス) id: d4a111688e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:コロコロオムレツ | 作成日時:2019年5月5日 16時