朱龍の血を引く少女は「高華の獅子」

2話 ハク ページ3

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沈黙が流れた



エースはとぼけた顔をしているが口角が上がっている


こいつ、姫様からかって遊んでんな



「！エースの馬鹿！」



『いたっ、痛いですよ姫様〜』



姫様がエースを叩く



彼奴にとっちゃ痛くも痒くもないか



このやり取りを穏やかに見つめるイル陛下



「……止めないのですか？」



「見てて微笑ましいだろ？それにエースもイキイキしている」



ふと、エースを見ると姫様の攻撃を捌きつつ、ケラケラと笑っている



そして豪華な絹の衣装をまとい、城中から可愛らしいと囁かれている顔を赤くして怒るヨナ姫




「微笑ましいかはわかりませんが(エースが)楽しそうですね」



()の中を高速で呟いてから少しして、ヨナ姫が息切れ出した



そろそろ止めるか



流れ弾で飛んできた湯のみを掴む



「いいんですか？可愛くしとかなくて。お着きになったみたいですよ。スウォン様」



途端に姫様は赤くなり、部屋を飛び出て行った



「だから髪を気にしていたのか？彼はヨナの髪なんて今更だろうに。従兄弟なんだから」



「乙女心て奴じゃないですか」



掴んだ湯のみで茶を飲む



からかう相手を逃したエースも不満そうにミンスから湯のみを受け取った



「じゃあ、私は政務に戻るよ。5日後の警備もよろしく」



「『御意」』



エースと揃って頭を下げ、顔を上げるとイル陛下はもう居なかった



ミンスも警備に戻り、部屋にはエースと2人だけになった



『…久しぶりね！ハク』



彼奴の顔がスンとした澄まし顔からパッと笑顔に変わった



「ああ、そうだな」



別の部族であり、ろくに里に帰らず、城でも一つの場所に留まらない俺はエースに碌に会わない



数年ぶりに会う幼馴染みは、随分と大人に近づいて見えた




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