朱龍の血を引く少女は「高華の獅子」

17話 靄 ページ18

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頭の中が靄が掛かってる




何も、見えない




頭が、目が、焼けるみたい




なのに、酷く快感を覚える





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もっと、苦しめ




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もっと、泣け




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悶え苦しみ、命を断て




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何に苦しめと言っているの？




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命を断てとは何？





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誰か……私を呼んでる？





拳を強く握りる





手に爪が刺さり、血が出て、一瞬だけ靄が晴れた





その一瞬で目に入った黒髪






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ハクだ





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ハクが呼んでる








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何故声が出ない




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何故、靄が消えない





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さっきは痛みで靄が一瞬晴れた





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だったら





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右手に持った袋槍








左手を動かし、刃を刺した







『っぐ！……』







痛みが増すにつれて、晴れる靄






ハクが頭を抑え、崩れてる





『……っ、ハク！』





血塗れの左手を袋槍から離し、ハクに駆け寄る





顔を見て驚いた





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ハクが怯えてる






頭を抑え、微かだが震えてる





頬に涙の跡がある





私……なんかやったんだ





ハクが此処まで怯えるなんて普通ならあり得ない




でも、さっき普通じゃなかった私なら……





『…ごめん、ハク。もう大丈夫。』






ハクが私を見る






幼い頃、一度だけ見た泣き顔と同じだ





『なんか酷い事したなら…謝る』





だんだんと戻る記憶






女官に激しい怒りを覚えた





父上をバカにするなど許せない





怒りが最高地点に達して、殴り掛かろうとした時






何かが心の底から湧き上がって来た





一瞬にして、それに飲み込まれ靄が掛かった




あれは……一体…





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ハ「……エース」




『なに？』




ハクが私の頬に手を添える





心配そうな顔だ




ハクはこんな奴だけど、意外に心配性の兄ちゃんだ




ハ「お前は……居なくならないよな…」




『何を心配してるの？当たり前でしょ』





姫様もスウォン様も高華国も、





私が守り通すんだ





ハ「……そっか」




ハクはホッと息を吐くと、ニカッと笑った




ハクの笑顔……可愛いな






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