#28 ページ28
4月中旬。
晴れて大学生になったと思しき藤井くんに出会った。
パソコンを片手にコーヒーを飲む彼は、なんというか絵に描いたような大学生で少し羨ましさを覚えた。
失った青春。
ともが居なくなっても、取り返したいとは思わへんけど。
「休憩入ってええよ〜」
そんなタイミングで桐山さんから声がかかり、思わず藤井くんの方に足を進めた。
思わず、というのはつまり、意図せず。
「…藤井くん、久しぶり」
ともの居場所、知ってるんやないかってほんまはずっと思ってた。
それでも問いただせずに居たのは、もし藤井くんが知っていたら負けた気持ちになるから。
家族には、俺には言わへんこと、友達には言うなんて信じたくなかったから。
「あのさ、とものことでちょっと聞きたいことあるんやけど…今、ええかな？」
「え、あ、はい」
こくこく、と頷くと俺が座れるようにと荷物をどかしてくれる。
「ありがとう」
「いえ…でも俺、そんな答えられるかわからないです。卒業式以来会ってないんで」
「ともの連絡先、知らへん？」
…待って。おかしいよな、普通家族が連絡先わからんなんておかしいもん。
携帯のデータ飛んだとか、適当な言い訳しようかと思って口を開く。
けどそれは叶わなかった。
「ごめんなさい。最近連絡先変わったんですかね？俺も連絡取れなくて」
「…そっか」
「こんなこと聞くなんて、もしかしてどっか行っちゃったとか…」
答えみたいな質問をした手前、隠し事する気なんて起こらなくて、素直に白状する。
「東京の専門学校に行ったらしくて…なんか、そういうのも聞いてへん？どこの専門学校行くとか」
「わからないです。俺、卒業式の時に春からも同じ学校やねって話もしてたんです。やけど、まだ一回もキャンパスで会ってないんですよね…」
「…うん。そもそも入学金も支払ってないみたい」
俺の言葉に藤井くんは驚いた顔をする。
「そうやったんですか…合格、一緒に喜んだのに」
「俺も口では入学手続き済ませたって聞いてたから大学行くと思ってたんやけど、な…」
あんなに聞きたくないって思ってたのに、藁にも縋る思いやった。
藤井くんが知ってること、何もかも教えてほしくて。
「…あの、そういえば恋人居たの知ってます？」
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ナナセ(プロフ) - 7129さん» お返事遅くなってしまってすみません💦 コメントありがとうございます。ぜひ最後までお付き合いくださいませ◎ (2022年10月27日 17時) (
レス) id: 4f931bc539 (このIDを非表示/違反報告)
7129(プロフ) - ナナセさん！待ってました〜🙌読み始める前から胸がぎゅんぎゅん締め付けられてます…月水金、楽しみにしてます！！！ (2022年10月25日 22時) (レス) @page4 id: f02b13cfb6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナナセ
| 作成日時：2022年10月24日 14時
