#24 ページ24
マフラーに顔をうずめるともの姿は、寒がりの象徴みたい。
冬本番。
同級生が受験勉強にいそしむ中、俺も春に向けてシフトを少しずつ増やしていった。
「お次お待ちの方どうぞ」
寒そうに首をすくめて列に並ぶとも。
この世で一番かわいい。(弟ばか？何とでも言え)
「いらっしゃいませ。店内でお召し上がりですか？」
「はい。ココアください」
最近のともの日課はここで俺のバイト終わりまで勉強すること。
学校が終わって家事をすませて、課題を手に来店する。
「大ちゃん、頑張ってね」
「ん。ともも。勉強分からへんところあったら聞いて」
「大ちゃんに答えられるかなぁ」
生意気なことを言う弟は、ココアを両手で受け取って席に向かう。
俺がフリーターになってからもこんな生活、続くんかな。
ともが受験生になるんやから、俺も少しは家事手伝わんと。
俺が思い描く未来にはいつも隣にともがいる。
ともが思う未来もそうだったらええな。
そんなこと考えて、あまりに恋する乙女みたいな自分の思考に呆れた。
「お疲れ様」
閉め作業をしている間も、店長のご厚意でともには店内で待ってもらってる。
レジの締めまで片づけると、荷物をまとめたともがひょこっと目の前に現れた。
「待っててくれてありがとなぁ」
「こっちのほうが勉強はかどるからちょうどええねん」
ちょっとだけつっけんどんな言葉。
それだけで本音はきっと別のところにあるってわかる。
「お疲れさん。今日もありがとな」
「桐山さん！お疲れ様です」
「ほんま兄弟仲ええなぁ」
バックヤードから出てきた桐山さんに挨拶をする。
俺ら二人を交互に見比べて、ほほえましそうに笑った。
「年子やろ？年近くて喧嘩せぇへんの？」
「滅多にしないですね」
やって親があんなで、喧嘩してる暇ないし。と心の中で付け足す。
言ったら場が凍ることなんて、想像しなくてもわかる。
「うらやましいわ。うちなんて昔はしょっちゅう喧嘩して、騒がしかったからなぁ」
「それもそれで楽しそうですけどね。桐山さんが怒ってるのあんましイメージ沸かへんけど」
いやでも昔はな、なんて言いだすから"それ長くなります？笑"って。
「ごめんごめん。もう暗いし気ぃつけて帰るんやで」
「はい、お疲れ様です。お先に失礼します」
二人で歩く帰り道。
誰にもばれないようにこっそりともの手を掬う。
ともは驚いた顔したけど何も言わずにぎゅっと握る手を強めた。
来年も再来年もずっと一緒にいようなんて野暮なこと、言わんでもこの手を伝って通じてるんやないかと本気で思った。
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ナナセ(プロフ) - 7129さん» お返事遅くなってしまってすみません💦 コメントありがとうございます。ぜひ最後までお付き合いくださいませ◎ (2022年10月27日 17時) (
レス) id: 4f931bc539 (このIDを非表示/違反報告)
7129(プロフ) - ナナセさん！待ってました〜🙌読み始める前から胸がぎゅんぎゅん締め付けられてます…月水金、楽しみにしてます！！！ (2022年10月25日 22時) (レス) @page4 id: f02b13cfb6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナナセ
| 作成日時：2022年10月24日 14時
