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#23 ページ23

こんなに緊張して家に帰るの、いつぶりやろか。
とも、まだ怒ってるかな。すっかりぬるくなった肉まんを手に、ドアノブをひねる。

「ただいま」

さっきはごめん。
続くはずだった言葉は、お腹にめいっぱい感じた圧力に止められる。

「わがまま言ってごめんなさい」
「とも…」
「お風呂沸かしたから、入ってきて?」
「…っ、俺もごめん。我慢ばっかりさせて…」

ぎゅうって抱きしめる。
俺の体は外の空気で冷たいだろうに文句も言わず受け止めてくれた。

「その言い方嫌や、俺がキス魔みたいやん」
「本当のことやろ?」

ふくれっつらの頬に口づける。
それだけでどうにも幸せな気持ちになる。

「ともはもうお風呂入ったん?」
「…大ちゃん悪いこと考えてるやろ」
「ん〜?」
「ちょっと!大ちゃん、!」

ともと一点の曇りもない、だれもが認めるような幸せを手にしたい。
この子を心から幸せにしたい。他の誰でもない俺が、とものことを幸せにしたい。








「もう寝た?」

何度目かの寝返りを打って、ともに声をかけた。
すぅすぅと穏やかな寝息が肯定の返事。
洗い方が雑って怒られたけど、ともの髪はいつも通り天使のそれのように柔らかくて綺麗。

「なんでさっき、あんなに怒ったん?見られてもええってほんまに思ったん?」

独り占めしたいのはほんま。
でも兄弟っていう後ろめたさは確かにあるし、俺たちがこの街で堂々と過ごすことはよろしくないってわかる。
ともやって本当はわかってると思う。
何をそんなに切羽詰まってたん?

「俺たちただの兄弟のふりせなあかんねんで」

それを面と向かって言えないのが俺の悪いところ。
俺の前では笑っていてほしいから、怒りたくないし叱りたくない。

「だいちゃん」

その声が、寝言だと気づくのにはずいぶん時間がかかった。
俺のことを責めるみたいな声音に聞こえて、それ以上は何も言えなかった。

「おやすみ、とも」

やっぱりなかなか寝付けなくて、また寝返りを打った。

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ナナセ(プロフ) - 7129さん» お返事遅くなってしまってすみません💦 コメントありがとうございます。ぜひ最後までお付き合いくださいませ◎ (2022年10月27日 17時) (レス) id: 4f931bc539 (このIDを非表示/違反報告)
7129(プロフ) - ナナセさん!待ってました〜🙌読み始める前から胸がぎゅんぎゅん締め付けられてます…月水金、楽しみにしてます!!! (2022年10月25日 22時) (レス) @page4 id: f02b13cfb6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ナナセ | 作成日時:2022年10月24日 14時

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