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「オカン、何かあったん？」
俺の大声で目が覚めたのか、ドアが控えめにノックされた。
とものこと庇ったら、オカンは俺に興味ないと言わんばかりに俺から背を向けてしまった。
「何もないで。とも、調子どう？今りんご擦ったるから待っててや」
後ろ手でドアを閉める。
廊下に出ると少し温度の低い風が足の甲を撫でた。
「何か大声出してたやろ？大丈夫？」
「大丈夫、大丈夫。ベッド行かないならお姫様抱っこで連れて行くからな」
覚悟しいや〜と手を伸ばしても、拒むことなくまっすぐ俺を見つめてくる。
「…いつものことやろ？こういちさんが〜ってヒステリー起こしてただけよ」
「そう…」
納得いかない顔してるあたり、断片的に会話が聞こえていたのかもしれない。
錯乱してないオカンはいつもより声が小さくて、多分一番聞かれたくないところはともに届いていないと思うけど。
ともの手をぎゅっと握りしめたのは、自分の不安をかき消したかったから。
「大ちゃん、？」
「手ぇ冷たいなぁ」
この台風が過ぎるとぐっと気温が下がるらしい。
秋らしい天気なんて一瞬で、少しずつ冬の気配が近づいてくる。
「ベッド、戻ろっか」
「なぁやっぱり大ちゃん、連れてって？お姫様抱っこ、してほしい」
「甘えたさんやなぁ。おっきい赤ちゃんや」
「赤ちゃんやないもん」
ぐっと腕に力を入れる。
ともって思ったよりも体重あるんやで。言ったら怒られそうやけど。
でも安心する。
ともがちゃんとここにいて、消えてなくならないって確信できる。
「はい、到着」
とものことを置いていきたくない。
やから高校を出てもこの家に残るし、もしかしたらそれが何年も何十年も続くのかもしれない。
そう思っていた。けど。
やっぱり二人で逃げてしまおうか。
こんな家も親も捨てて、自由に暮らしたい。
その日暮らしの生活だって構わない。
できる気がするのは、あの日、夏祭りの日の逃避行が頭をこびりついて離れないから。
「とも、他行きたいところある？」
「んえ？今ベッド着いたばっかりやん。またどっか運んでくれるん？」
「…いや、ええわ。今度こそりんご擦ってくるからちゃんと横になってるんやで」
はーい、といい子のお返事を聞いて、台所に向かった。
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ナナセ(プロフ) - 7129さん» お返事遅くなってしまってすみません💦 コメントありがとうございます。ぜひ最後までお付き合いくださいませ◎ (2022年10月27日 17時) (
レス) id: 4f931bc539 (このIDを非表示/違反報告)
7129(プロフ) - ナナセさん！待ってました〜🙌読み始める前から胸がぎゅんぎゅん締め付けられてます…月水金、楽しみにしてます！！！ (2022年10月25日 22時) (レス) @page4 id: f02b13cfb6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナナセ
| 作成日時：2022年10月24日 14時
