#18 ページ18
中途半端な触れ合いが一番ともを苦しめるのかもしれない。
そう思っても、ともから求められれば拒むことなんてできなくて。
一線を超えていないのは本当。
やけど、彼との口付けは兄弟愛というにはいささか情熱的すぎる。
「くるし…っ、」
ぷは、と色気のない息継ぎが愛おしくて思わず笑ってしまった。
未だに慣れへんのやな、可愛い。
「下手っぴ」
「うるさ！俺やってあと一週間もすれば上手になるもん」
「それ先週も言ってへんかった？」
「大ちゃんが上手すぎんねん、あほ」
それ褒めてるん？って聞いたら、言葉やなくて拳が返ってきた。
・
「地獄に落ちるかもしれへんなぁ」
思わず呟いた言葉は誰にも拾われず消えていく。
“恋”をしてるのは俺一人。
ともは俺たちのおかしな関係に一番しっくりくる名前をつけるために恋人という言葉を口にしただけ。
ともの全部を俺のものにしたい、俺の全部をともにあげたい。
それが美しい兄弟愛になりきれないのは確かに欲が存在してるから。
誰とも付き合えない俺に同情して体差し出されたって辛いだけやで。
ともに手ぇ出したらほんまに地獄。
オトンと同じ過ちをするのは絶対に嫌やった。
「いらっしゃいませ」
カランコロンと来客を告げる鈴の音で顔を上げる。
「あ、」
イケメンくん、と言いかけて流星くん、と改める。
「こんにちは」
「いらっしゃいませ。ただいま席が満席ですがテイクアウトでよろしいですか？」
回転率のかの字もないこの店は、満席になる夕方にはほとんど新しいお客さんが来なくなる。
満席の断りを入れると、例に漏れず流星くんは思案顔。
「…あー、持ち帰りで大丈夫です。アメリカンのMサイズをお願いします」
「はい、かしこまりました」
しゅたしゅたと長い指でスマホを弄る姿を盗み見ながらドリンクを作る。
いっつもともと長電話してる流星くんが羨ましい。
家族やから当たり前なのかもしれへんけど、俺は用件済んだら終わりの電話ばっかりやから。
「お待たせいたしました」
弟の友人にすら嫉妬、馬鹿馬鹿しい。
「ありがとうございます。また来ますね」
「はい、どうぞご贔屓に」
18歳にして初めて、恋というものには自分の嫌なところを受け入れる作業も含まれることを知った。
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ナナセ(プロフ) - 7129さん» お返事遅くなってしまってすみません💦 コメントありがとうございます。ぜひ最後までお付き合いくださいませ◎ (2022年10月27日 17時) (
レス) id: 4f931bc539 (このIDを非表示/違反報告)
7129(プロフ) - ナナセさん！待ってました〜🙌読み始める前から胸がぎゅんぎゅん締め付けられてます…月水金、楽しみにしてます！！！ (2022年10月25日 22時) (レス) @page4 id: f02b13cfb6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナナセ
| 作成日時：2022年10月24日 14時
