#14 ページ14
繁華街を歩くのはやけに緊張した。
ともの手をぎゅっと握りしめると手汗がすごいって笑われた。
「ほんまにええの？」
「言いだしっぺは大ちゃんやろ」
警察に年齢確認されたら一発でアウト。
花火見て楽しくなっちゃって、兄弟二人でふらふらしてましたって言うたら見逃してくれるやろか。
俺らより大人っぽい、カップルみたいな男女二人が何組も居って、そのうちの一つが路地裏でキスしているのを見てしまった瞬間は心臓がはねた。
「でもさ、行く当てあるん？」
「うん。あるっちゃある」
普通のホテルに行ったら受付で止められるかもしれない。
前に聞いたクラスメイトの話では、"大人のホテル"は受付が無人で、機械操作でチェックインできるとのことだった。
その時に聞いた刺激的な話を思い出してまた手汗がじわっと溢れる。
「もぉ手離す。そのうちつるってすべってまうよ」
「ごめんてとも」
ぐいぐい浴衣で汗をぬぐってもう一度手を差し出すと、やれやれって顔で繋がれた。
普段来ない場所にともも不安な気持ちがあるんやと思う。
「…そこ、曲がったところ」
俺の言葉にともが頷く。
彼の白い首筋に浮かんだ汗が、線香花火のようにゆっくりと落ちていった。
・
別に、ともとどうこうするつもりはない。やって、兄弟やし。
代わりばんこにシャワーを浴びて、二人用にしてもでかいベッドにダイブする。
「寝返り打ち放題や」
「ほんま。俺の背が伸びひんの、夜窮屈やからだと思う」
そんなん言うて、一緒に寝るのやめる？って聞いたらきっと悲しそうな顔するんやろな。
まだまだ身長は抜かされそうにない。
「もしほんまにオトンが帰ってきてたら、俺らのこと心配するかなぁ」
「まぁ警察に通報するタイプでもないやろし」
いざとなったらそんときはそんとき。
昔見た家出少女のドキュメンタリーを思い出す。
あの子も今の俺らみたいな気持ちだったんかな。
「…あ！ケーキ買い忘れた！」
「まだ甘いもの食べるん？」
「そりゃ大ちゃんの誕生日やもん」
「ともがケーキ食べたいだけやろ？もう遅いし、風呂も入ったから外出かけへんで」
未練がましそうな顔してる。
オトンのことなんてもう頭から抜けてしまったのか、ケーキ…としょぼくれて。
こだわりしいのともがケーキを用意しない初めての誕生日。
代わりって自販機で買ってくれたりんごジュースは今まで飲んだ中で一番甘かった。
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ナナセ(プロフ) - 7129さん» お返事遅くなってしまってすみません💦 コメントありがとうございます。ぜひ最後までお付き合いくださいませ◎ (2022年10月27日 17時) (
レス) id: 4f931bc539 (このIDを非表示/違反報告)
7129(プロフ) - ナナセさん！待ってました〜🙌読み始める前から胸がぎゅんぎゅん締め付けられてます…月水金、楽しみにしてます！！！ (2022年10月25日 22時) (レス) @page4 id: f02b13cfb6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナナセ
| 作成日時：2022年10月24日 14時
