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同じクラスになって、前と後ろの席になって。ついでに、掃除当番まで一緒だし、最寄り駅も同じ。ただ、私は高校に入学するタイミングで引っ越して来たから中学は別々。
「 Aは同性の事を好きになった事、ある? 」
「 ない。憧れてる人ならいたけど、恋愛対象で同性を見た事はない。そっちは? 」
こう言うセンシティブな話題って、配慮する必要があったんだ。忘れてた。恋愛に興味無さ過ぎて、恋愛対象が同性であろうが異性であろがどうでも良くなっていた。
「 ごめん。配慮の必要があったのを忘れてた。 」
「 いや、俺の方こそ。突然ごめん。気になって。 」
「 何で気になったの? 」
余りの暑さに限界になり、涼しい教室に避難した。もう、誰もいない。掃除当番は私達だけ。冷たいサイダーが、どうしても飲みたい。毎年思う。
「 俺って、可笑しいのかと思って。 」
風鈴が鳴った。綺麗な音。聞き間違えじゃなければ、ロボロ君は今、何か重要な事を言った気がする。可笑しいのかと思って?
「 可笑しくないんじゃない? 」
「 まだ、何も言うてないやろ。 」
「 言われてないけど、私、ロボロ君に興味無いし。恋愛対象の話? 」
ロボロ君は頷く。小さく、1度だけ。
「 ゲイなの? 」
沈黙が流れた。嗚呼、配慮を忘れてた。踏み込み過ぎると怒られる。でも、腫れ物扱いしても怒られる。だけど、当事者って案外、気にしてないんだよね。こう言う、セクシュアリティの話で騒ぐのは何時も外野だけ。
「 そうなのかなって思ってる。だから、気になって。年頃やし、勘違いもあるかなと思ったから聞いてみた。ごめん、忘れて。 」
「 忘れるけど、可笑しくないでしょ。今時、色んな人間がいるんだしさ。まあ、此処は田舎だから暮らしにくいかも。都会に行けば、自由になれるよ。 」
窓から連なる山を眺める。面白味も無い景色。両親が離婚してこっちにやって来た。離婚する位なら、結婚しないでくれと思った。
「 坂藤( バンドウ )先輩って恋人居るかな。 」
2年生の6月。ロボロ君の好きな人が発覚した。坂藤先輩って言うんだって。多分、イケメン?興味無いから評価しようがないけど、人気があるらしい。人気者になって何になるの?
「 居るんじゃない?だって、人気者なんでしょ。 」
「 やっぱりそうよな…… 」
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紗枝(プロフ) - ちびさん» こんばんわ。温かいコメント有難う御座います。本当に嬉しいです☺ " はくしき "とても思い入れのある作品です。そんな風に言って下さって、光栄に思います。これからも度々、覗きに来てくれると嬉しいです💐 (5月30日 3時) (レス) id: ed8861063f (このIDを非表示/違反報告)
ちび - この短編集から貴方様の事を知りました。とても文が好きで文字の使い方が好きです。とくに「はくしき」が何か胸にもやっとくるような不思議な気持ちになりましたとても好きです😢✨これからも応援してます。 (5月29日 21時) (レス) id: b1c4d4a663 (このIDを非表示/違反報告)
紗枝(プロフ) - 大神さん» こんばんわ。通知に紛れてしまい、反応が遅くなってしまいました。申し訳御座いません。お優しい言葉、言葉にならないくらい嬉しいです😊 これからも見守って下さると嬉しいです🥰🥰 (5月21日 22時) (レス) id: ed8861063f (このIDを非表示/違反報告)
大神(プロフ) - zmさんの小説を読んでから全ての作品を読ませて頂きました。どの作品も心に刺さりましたが、この短編集が特に好きです。こんなに自分好みの小説を書かれる方に初めて出会い、言葉にならないくらい好きです。これから応援しております。 (5月20日 12時) (レス) @page37 id: 48f5acd833 (このIDを非表示/違反報告)
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