【 wrwrd! 】わたしがいちばん【 短編集 】

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　「 ショッピだって、幸せになんてなれないから。人を殺した様な奴が、幸せになれると思わないで。ショッピは死ぬ迄ずっと、怯えてるんだよ。ショッピが殺した奴等は幽霊になって出て来ないけど、ショッピが何もしてない奴等は人間のまま出て来るから。 」
　「 それって、どう言う意味？ 」
　「 ショッピが殺した奴等だけ、ショッピを許すかどうか決めれるのに、今の世の中の奴等は、自分が無関係なのにショッピを許すかどうか揉め出す。関係ないのに、ショッピの事を詳しくも知らない癖に。正義感が産んだ化け物達は不滅だから、ショッピを死ぬ迄追い込む。覚悟してるの？自分を殺した奴等じゃなくて、無関係の奴等に殺される覚悟はしてるの？ 」
　
　
　茨の中は安全だ。どんなにこじ開けようと試みる人が居ても、その茨に傷付いて後を去る。だが、どうだ。Aは茨の中にいる俺に、臆する事なくやって来た。茨で傷だらけの筈なのに、それを厭わない強い精神力がある。尊敬していた。俺もそんな風に強くなりたいと思った。
　
　
　「 ずっと昔から、覚悟しとる。誰かに殺される事も、誰かに攻撃される事も。全部、覚悟しとる。 」
　「 私も覚悟してる。ショッピと一緒に居て、傷付く事も苦労する事も。でも、自分の色眼鏡でショッピを見たくない。前科者でも、今は真面目に働いてるし、悪さだってしてない。愛してはないけど、信用してる。だから、大丈夫。私達なら、大丈夫。 」
　
　
　安全地帯の茨の中に、もうひとり加わった。彼女は茨の中の世界を見て、単刀直入に気持ち悪いと言ったが、その素直さが色んな人に愛されるんだと思った。気持ち悪い世界に文句を言いながらも、結局、自分の過ごし易い場所を見付け、今ではそこで無防備に眠っている。
　だが、彼女は茨の外は危険だと言わない。自分は色んな世界を見て来た筈なのに、茨以外の世界は居心地が悪かったと言う。彼女にとってこの世界が過ごし易い場所なら、俺は茨を生み出した事を肯定出来るかもしれない。


　「 ショッピ、死んだら一緒に地獄に堕ちるから安心してね。私も、共犯者だから。 」


　新郎・寛太、貴方はAを妻とし、健やかなる時も、病める時も、喜びの時も、悲しみの時も、富める時も、貧しい時も、妻を愛し、敬い、慰め合い、共に助け合い、その命ある限り真心を尽くす事を誓いますか？


　「 誓うよ、A。 」
　
　
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