✍ せんぱい ページ35
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〔 せんぱい ⇨ コネシマ 〕
「 おい、何やこれ。 」
コネシマさんが私の盛り付けたサラダを持って来て、威嚇した。
「 何これって言われましても…… 」
「 伝票ちゃんと見てんのか?お客様がトマトアレルギーやから、入れるなって言われてたやろ。 」
私が慌てて伝票を確認すると、確かにトマトを入れるなと書いてあった。確認不足。私のミス。
「 すいません…… 」
「 間違えて出してたら大問題やぞ。次から気を付けろよ。 」
コネシマさんは私の作ったサラダを放り投げて、恐らく自分が新しく作ったサラダを持ってホールに向かった。まだ、入ってばかりだが、それにしても仕事を覚えるのが遅く、同期はどんどんと成長していく中、私はずっとコネシマさんに叱られてばかりだ。
コネシマさんは新人教育をする事が多いらしく、兎に角怖い。その為、コネシマさんが新人教育を担当した新人は、直ぐに辞めてしまうのだとか。だが、こればかりは運だ。私もコネシマさんが私の教育担当だとは知らずに、ここで面接を受けた。そして合格して、このザマだ。
「 何してんの。 」
コネシマさんが背後から低い声で尋ねる。吃驚して飛び跳ねた。
「 コネシマさんから教えて貰った事を纏めてます…… 」
コネシマさんは私が机に広げていた汚い字で書いたメモを持ち上げ、ジーッと見た。コネシマさんの指導は確かに優しくない。現場に立たせてくれる事は感謝しているが、分からない事ばかりなのだ。他の先輩に聞いても迷惑になりそうで聞けず、後で同期に教えて貰う始末。情けない。焼肉屋、向いてなかったかな。
「 もう上がりやろ。帰れよ。 」
「 これを終わらせてから帰ろうと思って…… 」
「 終わるん?こんな量あって、書き直すって事やろ? 」
「 そうですね…… 」
「 終わらんやろ。こんなに汚い字で書いてあるんやから、分からないやろ。何が書いてあるか。 」
「 はい、分からないです…… 」
「 遅いからはよ帰れ。俺が連絡したるから。 」
「 連絡? 」
コネシマさんはズボンのポケットからスマホを出す。水色のスマホケース。可愛い。
「 ほれ。 」
コネシマさんはQRコードを此方に見せた。連絡先の交換だと察し、私も慌てて鞄からスマホを出す。そして、コネシマさんのQRコードを読み取り、追加した。
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紗枝(プロフ) - ちびさん» こんばんわ。温かいコメント有難う御座います。本当に嬉しいです☺ " はくしき "とても思い入れのある作品です。そんな風に言って下さって、光栄に思います。これからも度々、覗きに来てくれると嬉しいです💐 (5月30日 3時) (レス) id: ed8861063f (このIDを非表示/違反報告)
ちび - この短編集から貴方様の事を知りました。とても文が好きで文字の使い方が好きです。とくに「はくしき」が何か胸にもやっとくるような不思議な気持ちになりましたとても好きです😢✨これからも応援してます。 (5月29日 21時) (レス) id: b1c4d4a663 (このIDを非表示/違反報告)
紗枝(プロフ) - 大神さん» こんばんわ。通知に紛れてしまい、反応が遅くなってしまいました。申し訳御座いません。お優しい言葉、言葉にならないくらい嬉しいです😊 これからも見守って下さると嬉しいです🥰🥰 (5月21日 22時) (レス) id: ed8861063f (このIDを非表示/違反報告)
大神(プロフ) - zmさんの小説を読んでから全ての作品を読ませて頂きました。どの作品も心に刺さりましたが、この短編集が特に好きです。こんなに自分好みの小説を書かれる方に初めて出会い、言葉にならないくらい好きです。これから応援しております。 (5月20日 12時) (レス) @page37 id: 48f5acd833 (このIDを非表示/違反報告)
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