✍ りんじん ページ17
▶
〔 りんじん ⇨ チーノ 〕
「 何だか最近、不穏なニュースばかりですねえ。 」
チーノ君が眠たそうに欠伸をした。時間は13 : 00を過ぎた。後少しで帰れる。もう少しの辛抱だ。
「 え、そうなの? 」
「 知らないんですか?静岡県でストーカー殺人事件があったじゃないですか。被害者の女性はAさんと同じ女子大生。怖いですよ。 」
「 へえ、そんな事あったんだ。それにしても、ストーカーってどう言う心理なんだろうね。警察も出来る事が限られてるし、もし自分がストーカーに遭ったらどうしたらいいんだろう。 」
立ちっぱなしだと肩が凝る。先程、フロアの巡回を終えたばかりだ。休日の昼時は混む。家族で遊びに来るから。
「 やっぱり、大人に相談するべきですよねえ。ひとりじゃ解決出来ひんし。 」
「 そうだよね。まあ、チーノ君が居るから私は大丈夫かな。 」
冗談だったので、笑った。すると、チーノ君はニコリと微笑んだ。
「 そうですねえ、Aさんに何かあれば助けに行きますよ。 」
「 助かるわ。でも、私なら大丈夫そうだけどね。可愛くないし、小さい訳でもないから。狙われる感じしないけど。 」
「 そんなん関係ないですよ。ストーカーの好みですから、ターゲットは。そう言えば、Aさん、彼氏と別れたんですか? 」
「 えー、その話するの? 」
私が息を漏らしながら苦笑した。最近、9ヶ月付き合った彼氏と別れたのだ。大学生になっても結局、中学生みたいな恋愛しか出来ない。
「 向いてないんだよね、私。恋愛とか。本当に長続きしない。 」
「 でも、あの人は良くなかったと思いますよ?だって、他に女の影があったじゃないですか。 」
「 やっぱりそう思う?てか、チーノ君、彼奴の事知ってるの? 」
チーノ君は首を振った。
「 知らないですけど、話を聞いてたらそんな感じがしたので。 」
「 そっか、私そんなに彼奴の話してたか。 」
チーノ君は半年前にやって来た新人だ。仲良くなったのは最近、シフトが被る様になったから。それまでは、チーノ君の事も知らなかった。
「 すいません、お客様の問い合わせが入ったみたいなので対応して来ますね。 」
「 はーい、行ってらっしゃい。 」
まだ新人だけど、チーノ君より後に入って来た子も沢山居る。そうか、チーノ君も先輩になったのね。感慨深いな。
▶
82人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
紗枝(プロフ) - ちびさん» こんばんわ。温かいコメント有難う御座います。本当に嬉しいです☺ " はくしき "とても思い入れのある作品です。そんな風に言って下さって、光栄に思います。これからも度々、覗きに来てくれると嬉しいです💐 (5月30日 3時) (レス) id: ed8861063f (このIDを非表示/違反報告)
ちび - この短編集から貴方様の事を知りました。とても文が好きで文字の使い方が好きです。とくに「はくしき」が何か胸にもやっとくるような不思議な気持ちになりましたとても好きです😢✨これからも応援してます。 (5月29日 21時) (レス) id: b1c4d4a663 (このIDを非表示/違反報告)
紗枝(プロフ) - 大神さん» こんばんわ。通知に紛れてしまい、反応が遅くなってしまいました。申し訳御座いません。お優しい言葉、言葉にならないくらい嬉しいです😊 これからも見守って下さると嬉しいです🥰🥰 (5月21日 22時) (レス) id: ed8861063f (このIDを非表示/違反報告)
大神(プロフ) - zmさんの小説を読んでから全ての作品を読ませて頂きました。どの作品も心に刺さりましたが、この短編集が特に好きです。こんなに自分好みの小説を書かれる方に初めて出会い、言葉にならないくらい好きです。これから応援しております。 (5月20日 12時) (レス) @page37 id: 48f5acd833 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ