知り合い(仮) . (ページ8)

今日:2 hit、昨日:28 hit、合計:117,896 hit

知り合い(仮) ページ8

・

「あの、すいません。」

『はい。何かありましたか？』

「あ、いえ急用ではないんですけど。

　今もし忙しくなかったら少し質問してもいいですか？」

『はい、答えられる範囲なら。』

私がビールを机の上に並べた時、宮近さんが突然私に言った。

「3つくらい、いいですか？」

『はい。答えられるかはわかりませんが。』

「Aさんって昔アパートに住んでました？」

『はい、住んでました。』

「ダンス、習ってました？」

『はい、習ってました。』

「ならAさん、僕のこと知ってますか？」

『はい、宮近さんですよね、知ってます。』

「僕はAさんのこと、知りません。」

はい、そりゃそうでしょう。

私は一般人で宮近さんは芸能人ですから。

知ってますって言われた方が驚きです。

「でも、僕の母がAさんのこと知ってました。」

え？

私は理解ができずに固まっていた。

「ちゃか、多分それ今じゃなかった(笑)」

松倉さんが場を和ませてくれた。

「この間みたいにいっぱいお酒飲んだらちゃんと話せなくなると思って。」

「いつ話しても一緒だよ多分。突然言われたらびっくりするでしょ。」

「確かにな。とりあえず乾杯するか。

　Aさん、すいません。あとで時間いいですか？」

『あ、はい。では失礼します。

　またいいタイミングで呼んでください。』

私の頭の中はずっとハテナでいっぱいだった。