知り合い(仮) . (ページ20)

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『あ、え？げ…松田さん。どうしてここに？』

危ない、いつもの癖で元太くんって呼ぶところだった。

「んー買い物？この古着屋ケイからお勧めしてもらって来てみました(笑)」

『そ、そうなんですね。』

「Aさんは彼氏と2人？さっきかっこいい人と一緒にいませんでした？」

『あーあの人は…』

「ただの友達です(笑)正確には元恋人？」

『え、いつの間に戻って来てたの？』

「Aが推しに会えて…」

『あーーーーー！ちょ、余計なこと言わないで！』

「俺、このあとデートだから。お先に失礼します。」

『え？ちょっと！』

「Aさんの元彼、イケメンっすね」

『結構モテるみたいです(笑)』

「Aさんは？」

『え？私ですか？全然モテないです(笑)友達も居ないですし、』

「なら、俺と友達にならない？」

『え？』

「このお店、全然お客さんいないし、また偶然会えた時に話せたら嬉しいなって。」

『はい！』

「お、よかった。笑ってくれて(笑)」

『あ、すいません。ずっと緊張してて、』

「緊張してたんですか？どして？」

そうだ、元太くんは私がファンだなんて知らなくて、

知ったらきっと、お友達になんてなれない。

『芸能人の方と話すのは緊張しますよ。』

「え？でもバイトしてた時はそんな感じには見えなかったですよ？」

『そう、ですか？』

ﾌﾞｰﾌﾞﾌﾞｯ

海斗今どこ?

宮近さんからの突然のメール

「やっぱりね(笑)はい、これ見て？」

え？元太くんと宮近さんのトーク画面？

元太ねえ、Aさんって彼氏いるの?
ちゃかいないと思うけど?
元太イケメンと2人でデートしてる
ちゃかえ?どこで?
元太俺プライベートは守る主義だから、ごめんねちゃか

「最近ちゃかがAさんの話するから。もしかしたら、って思って(笑)」

『宮近さん、私に思わせぶりばっかりです。』

「思わせぶり、じゃないかもよ？」

『え？松田さん？』

「でも、Aさんが好きなのは俺なんでしょ？」

『え？どうしてそれを？』

「スマホのロック画面、見えちゃった(笑)」

『あ、すいません！これは…』

「そのままにして。また今度、変わってたら怒るかんね(笑)」

お店から出て行く元太くんを黙って見送ることしかできなかった。