年上命令 ページ7
『北斗はさ、今大学生なの?』
「はい。大学入る為に上京して今3年目です。」
『ふふッ、なら21とかその辺でしょ?俺も今年で22だから歳近いし敬語ナシね!これは年上命令!』
なんて人だ。無邪気な顔をして、年上という権限を酷使し俺にタメ口で話すように仕向けるとは…でも悪い気は全くしない。
寧ろ逆、タメ口で話せる関係になれば今回こそ彼とちゃんと友人になれるのではないか、そんな淡い期待が現実になりそうで胸が高鳴った。
『あと、京本さんじゃなくて「大我」ね。連絡先も教えて。これも全部年上命令ね。』
そう言っていたずらっ子な笑みを浮かべる彼は俺が見てきた中では世界一なんじゃないかってくらい美しくて、可愛らしい彼の人間の本筋みたいなのが見えた気がした。
『ねぇ、北斗ってさ、料理とか出来んの…?』
「うん、一応一人暮らしで作ってるから。そんな大したものじゃないものだけど。あ、泊めてくれたお詫びに朝飯作るよ。」
『マジ?!助かる〜!俺料理できないんだよ〜』
「いいよ全然、助けてもらったのは俺の方だし」
・
・
・
『わぁ、ウチの少ない食材でよくこんな美味しそうなの作れたね〜!北斗天才なの?!ちゃんとトマト入ってるし!俺トマト大好きなの!』
「大したもんじゃないって、スクランブルエッグに混ぜただけだよ。トマトがたくさんあったから好きなんだろうなと思って入れてみた(笑)口に合わなかったらごめんね。」
『絶対美味しいよ!いただきま〜す!』
『うまっ!味も丁度いいよ!最近コンビニ飯ばっかりだったから本当今幸せだよ。』
「フフ(笑)なら良かった」
サラッと嬉しいことを言う彼に狼狽えるところだった。
高地もかなりストレートに料理や服を褒めてくれるけど大我に褒められるのはなんだか違う感覚になる。胸が痒いというか体が熱くなるというか、昨日の酒のせいもあるかもしれないが。
『北斗ってアパートの家賃自分持ちなの?バイトとか大変じゃない?』
「うん、そうだよ。学割効くとこだから少し助かってる。自炊するし、お金使うと言ったらたまに服買うくらいだし、やりくり次第って感じかな。」
なぜか彼の前だと饒舌になってしまう。高地経由で仲良くなったジェシー達にも心を開くのには二ヶ月ほどかかったというのに。
『そっか、大変だね。あの、年上命令というか我儘言っても良い?』
「なに?」
『北斗俺んちに住まない?』
彼の年上命令兼我儘はかなりブっ飛んでるらしい。
299人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しば(プロフ) - ぽんさん» 報告ありがとうございます!以後気をつけます!また何かありましたらコメントお願いします^ ^ (2020年9月22日 0時) (レス) id: 4f2125b82d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:しば | 作成日時:2020年9月21日 23時