【爆豪勝己】仮面王女の鎖

34. 振り返った ページ36

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丁度俺のそばにいたどっかの国のカメラマンは

皇女に見惚れていた事に気づき、焦ったかのようにカメラを構え始める。




俺は俺で…呆気にとられていた。



アイツが、皇女？

いや、でもそれなら偽名を使った理由も
納得できる。




それとも人違いか？

デクも轟もアイツの顔は見てねェから
確認する奴も居ねェ。





国王がティアラをアイツにつけ、壇上から降り


ただ1人、Aは立っている。





世辞を言うわけではねェが

この国…ベルガラールの皇女と言われて
納得できる女は、きっとAしかいねェ


それほどに…綺麗だった。

『生まれるべくして生まれた』ってのは
きっとこの皇女のことを言うんだろう。




「「ステラ様ぁぁぁ！！！！！」」



あちらこちらから聞こえてくる歓声に、

カメラのフラッシュやシャッター音は
一向に鳴り止まねェ。



それを止められるのは…A


いや…皇女の言葉だけだ。





「私が生まれた時から、皆様は今日のこの時を
心待ちにして下さっていたと聞いております。



そのような温かい心を持つ国民の皆様と共に
ベルガラールで生きられる事を

非常に幸せに思います。



そして、私自身も
あなた方の幸せを日々願っています。


これからも…美しく平和なベルガラールが
永遠に続くことを祈ります」




どこか無機質な冷たさを纏うその言葉は
誰にでも聞き取れるような、易しい英語だった




歓声が鎮まったのを見て、
皇女が壇上から降りようとした時



鈍い銃声音のような音と共に、向こうから
アイツの方へ大きな火の玉が飛んで行った。




「…ッ危ねェ！！！A！！」




俺がそう叫んだのは

大衆が悲鳴を上げる直前で



俺の声はその周囲に響き渡った。




そう。その皇女が俺の方を振り向くほどに。




一気に火の玉と皇女の間に何か青い壁が立ち、

火を吸収する。



俺ら外部の護衛は互いに目を合わせ確認し
指示役のヒーローが

「とりあえずこの民衆を避難させ____」


そう言いかけた時だった。




「今…皇女への襲撃を謀ったのは貴様か？」




壇上にはもう皇女は居らず、壁は消えていた。



その代わりに1人の騎士…それも聞き覚えのある
声の男が剣を持って立っていて



男が手で空を切ったかと思えば

1人の男が浮き上がり
即座に男の目の前まで連れてこられた。



その騎士は、間違いなく
Aの執事の『ライズ』だった。

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