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9. 回想 ページ11






通されたカウンターの隅の席に座る。


戸棚から少し漂うお酒の匂いと共に
昔の事を思い出してしまった。








くだけた店の雰囲気には慣れている。

売られる前は、毎日こういう場所で大人たちの
相手をしていたから。





一概に植民地とは言っても、場所によって
全くをもってドレイとしての扱いは変わる。


同じレガト人の子どもでも学校に行くことが
できる地域だってある。まず、そのような地域の方が多いのかも知れない。


その一方でいくつかの地域は、誰もが想像する
絵に描いたような『ドレイ』として扱われる。



私が育ったのは、そんな地域だった。

両親が誰なのかも全く知らない。
他人ながらもドレイ同士が支え合う、そんな
状態で生きてきた。


ベルガラント人に頭を下げ続けなければ、
明日の命も保証できない日々だった。


子どももかまわず彼らに虐待されながら
過酷な肉体労働を強いられた。


昨日まで話していた友達が、翌日には居ない
なんて事は当たり前だった。




そんなある日、ベルガラント人が来て

私だけを少し離れた酒場に連れて行った。




そこはベルガラール本土と私たちの住む地域の境界にある、国に来た外国人の為の酒場だった。





そして彼らの話し相手をしろというのだった。
言葉も通じない上に、相手は男の人ばかりで
無理があると思った。



だけどその時の私にとっては、

これしか虐待から逃げる方法が無かったのだ。



そして、かつての仲間たちと離れ離れになり
私は知らない街で、酒場で働く事になった。


これはベルガラント人たちは知らないが
酒場に来ていた彼らは…

観光客と偽った『ヒーロー』達だった。


なぜ彼らが居たのか
その当時は分からなかったし今も確信はないが


おそらく、ベルガラールの調査だろう。


店に来るのは日本人のヒーローが多かった。
彼らは優しくて、私に日本語を教えてくれた。



その時は…彼らがまた来てくれるのを
楽しみにしながら生活してた覚えがある。



彼らは…あの後


私が売られてしまった後

私がいなくなった事に気付いてくれただろうか




…そんな事を考えても仕方がないか。









「…さん、お嬢さん!!」




ぼーっと本を見つめながら


いつの間にか隣に座っていた観光客であろう
男性2人に話しかけられている事にすら

私は気づいていなかった。

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Mona(プロフ) - アヤさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます( ; ; )これからものろのろ更新ですが気長に待って頂けると嬉しいです!これからもよろしくお願いします(^^) (2019年12月8日 0時) (レス) id: bb0d022ee1 (このIDを非表示/違反報告)
アヤ(プロフ) - 早く!続きが読みたくて、うずうずしています。かっちゃんとステラの葛藤が待ち遠しいです。いつまでも次の話待ってます(*´ ˘ `*) (2019年12月7日 10時) (レス) id: ffe771d046 (このIDを非表示/違反報告)
Mona(プロフ) - あすまさん» ありがとうございます!これからも亀更新ですが頑張りますね( ; ; )よろしければ他の作品も覗いてやってください(^^) (2019年11月27日 22時) (レス) id: bb0d022ee1 (このIDを非表示/違反報告)
あすま(プロフ) - 最後までいっきに読んでしまいました!とっても面白いです!更新楽しみにしています!応援しています頑張ってください! (2019年11月25日 1時) (レス) id: 0aabcfb8f7 (このIDを非表示/違反報告)
Mona(プロフ) - siroさん» ありがとうございます!これから面白くしていくつもりですので最後まで見届けて頂ければ嬉しいです(^^) (2019年10月18日 22時) (レス) id: bb0d022ee1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:mona | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=academia1st  
作成日時:2019年9月27日 20時

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