【五条悟】ブラックスマイル

34. 言えない ページ36

【五条side】



17:02
間に合ったよ。誰かさんが30分早めに教えてくれたおかげで

20:45
才珠A良かった
デートの件無かったことにしてる?
元々無いでしょ
大いにあるよ。電話していい?
おやすみなさい



多分無表情で打ってんな。

なんか僕すっげー嫌われてない？大丈夫？



まぁ電話って言っても大した用件は無くて
声が聞きたいだけなんだけどね。

ポイっとスマホをベッドに投げた時
画面が光って着信が来る。


『才珠A』の文字。


え、落として上げるタイプ？


「なんだ、電話くれるんじゃん優しいね」

『聞きたいことがあって』


聞きたい事？


「何？」

『恵の父親の居場所、知ってる？
もし何か知ってるなら教えて欲しい。


…探してるの』


耳鳴りのような何かが頭に響く。



何でAがアイツを知ってる？

何で探してる？


まず僕がアイツを殺したのは高2の夏。
彼女が居なくなって半年後くらい。

その時に接触したのか？



まず…本当の事を話すべきか？


『口元の…たしか右側に傷がある。
常人離れした体格で全く呪力が無い。

身長は…あなたほどじゃないけど高いはず。

特級呪具を持っていて、それを格納する呪霊が
ついていたかもしれない』



声で分かる。

あの男がAにとって
少なからず特別な奴だったってことは。


僕が殺したと言えば、彼女は…


「………」


考えてしまった時点で、言葉が出なくなった。



駄目だ、言えよ僕。


『…忘れて。変な事を聞いてごめんなさい。
私も明日早いし切るね。お休みなさい』



「待ッ…！」


電話は既に切れていた。


深いため息を吐かずにはいられない。




…あの男は

Aにとって一体どんな存在だったんだろう



恋人…？あり得なくはないな
恵の存在を言ってなくてもおかしくない。



間違った事をしたとは思わない。
僕が殺されるかアイツを殺すかの2択だった。



Aは、あの男が術師殺しだと
知っていて関わっていたのか？


分からない。

彼女と話せば話すほど、遠い存在に感じる。
分からない事は、増えていく。

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