【五条悟】ブラックスマイル

30. 出逢い ページ32

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スタッフ「今日から出勤だけど…

年齢は２０歳って事にしといてね
バレたら面倒な時もあるから」


『…はい』


初めて、お店に立った日。16歳だった。


化粧をすればそれ相応の歳には見えるし
嘘をつく事も苦手では無い。

ただ笑って話を合わせていれば良いだけ。

体を触られても、あの家にいた頃に比べれば
どうって事はない。


初日はヘルプで他のホステスと一緒に
座っているだけのはずだった。


その客は…2人組で

1人はスーツの男、
もう1人は飾らない服装の口元に傷がある男。


話を聞けば、接待によく使う店らしい。

彼らの雰囲気を見ただけで
まともな仕事をしてる人間ではないと分かる。

不思議な事はもう１つ。

口元に傷がある男から呪力が感じられない。
全くを持ってゼロだった。

だけど体の傷痕や体格を見る限り
彼の身体能力は異次元だ。天与呪縛？

まさに『近づいてはいけない人』だった。



だけどその男は


「お前を指名する」


私を指差してそう言った。

何が何だかわからないまま、
彼とアフターに行く事になった。



連れられたのはラブホテルだったので
心の中でため息をついた。


どこに行っても同じだ。そう思った。



『あの…お名前』


ホテルの中で初めて、名前を聞いた。


「……伏黒だ。まぁ覚えなくて良い

お前は今から死ぬ。才珠A」



その瞬間に術式を発動しようとしたが
出来なかった。



ベッドに押し倒され、腕を掠めた呪具は
突き刺さっている。



私の名前…おそらく術式も知ってる。
呪具は術式を無効にするもの。


腕から流れる血がベッドに染みる。



さっきは反射的に抵抗したが状況を把握した今
もはやそんな気は一切ない。

この男が何で殺そうとしてるかなんて
どうでも良い。

殺してくれるなら好都合だ。

これからホステスを続けたって今日みたいに
ホテルに連れ込まれる事があるだろうし
きっと私は抵抗しないだろう。


そんな毎日を生きるくらいなら
私はもうここで死んでしまった方が良い。



『…殺してください、出来れば1発で』

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