近くて遠い《2》 (ページ20)

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長野「……私、隼人のことが好きなの」

『……はい？』

長野「ずっとずっと隼人の事が好きだったの！」

理由を言われるのかと思ったら突然隼人くんが好きなんだと告白して来た。

『……それが私に悪戯する理由とどう関係するんですか？』

長野「いつの間にかあなたと親密な関係になってて…。」

『そんなことで？』

長野「私にとってはそんなことじゃない」

『……あの、私が仕事任せられた時、資料を隠したのも』

長野「……そう、私」

『やっぱり…』

長野「資料を隠したのはね？ほんの出来心だったの。

でも、隼人がAちゃんの事が好きなんだって気付いたら歯止め効かなくなっちゃって

不幸になればいい、いっそ隼人の前から消えて欲しいって

こんな事までするようになってた……」

『……そうですか。』

やられた事には腹が立つけど

ずっと好きだった人が他の誰かに取られて悔しくなる気待ちは痛いほど分かる気がする。

私だって、一歩間違えてたら七瀬に同じような嫌がらせをしていたのかもしれない。

そう思ったらこれ以上責めることはできなかった。

長野「ごめんなさい。大人気ないよね。」

『………あの、噂になってるみたいですけど

私まだ隼人くんとはお付き合いとかしてません』

長野「えっ？」

『だから隼人くんのことが本当に好きなら

こんな事しないで正々堂々ぶつかってきてください。

きっと、その方が隼人くんにも気持ち伝わると思います』

長野「……っ」

『ね？』

長野「……本当にごめんなさい」

再び頭を下げる長野さんに、もう大丈夫ですからと肩をポンっと叩いて頭をあげるように諭した。

『ふぅー。

……もう時間も遅いですし、帰りましょう？』

長野「うん……」

その後一緒に会社を出て、別れる。

『じゃ、また明日！』

長野「あの！」

『どうかしました？』

長野さんと逆方面に歩いてると、後ろから声をかけられた。

長野「私がこんな事言うのは変だけど、この事は隼人に……」

『あっ！安心してください。

隼人くんにはもちろん、誰にも言うつもりありませんから』

長野「ありがと、」

『はい！

…じゃあ、また明日会社で』

おやすみなさい、と告げて再び歩き始めた。

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