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生垣を越えればすぐ道路に面してるから、飛び出さないように注意をしつつ出てみる。……そこには一台の車が停まっていた。アスファルトには、急ブレーキを駆けたことが一目でわかるタイヤ跡がくっきり。ただ声を上げていたらしい男性は、車に乗り込む寸前だった。
『み!?(轢き逃げする気か!?)』
他の車が来てないことを確認してから、事故を起こした車に走り寄る。けど一足遅く、事故車は走り去っていった。
瞬時にナンバープレートを確認し覚える。後でバーボンに連絡しておこう。お縄につけさせてやるぜ。ふはは。と、どこか悪役風に思いながら被害者を確認しようと後ろを振り向けば
『み?(あれ?)』
人の姿がない。キョロキョロと首を横に振りながら辺りを見回せば、道路に横たわる小さい姿。血だらけの同族だった。
(……人じゃなかったよ)
と思いながら、近寄って生存確認をすることにした。お亡くなりなっていたとしても、このまま放置はよろしくない。秀一なら私の意を酌んでくれるからと覗き見てみる。
力なく目を閉じている顔。血に染まった毛に、変な方向を向いてる一本の後ろ足。ただ僅かに動いている胸に気付いて、生きてることがわかった。けどやべぇ状態だわ。
秀一が来る方向へ体を向ければ、走って来ている姿が小さく見える。大きく息を吸って
『みゃーーーー!!!!(しゅーいちーーーー!!!!)』
とありったけの大声で叫ぶ。私が叫んだ瞬間から、さっきまで小さかった秀一の輪郭がぐんぐん大きくなっていく。早ぇな。世界狙えるぞ。……ってふざけてる場合じゃない。
「A!どうした!?」
と、まだ距離のある場所から声を掛けられた。私はその場で、秀一を急かすようにぴょんぴょん飛び跳ねながら『みゃみゃ!!(秀一この子死ぬ!!)』と訴える。
私の切羽詰まった行動と声に、秀一はポケットへと手を突っ込んで携帯を取り出す。「今、救急車を」呼ぶからなって言うのがわかり、『みゃう!(救急車はダメだ!)』と止める。否定の言葉を言われると思ってなかっただろう秀一は、一瞬呆けた顔をした。けど足は動いたままだから、徐々に近付いてくる。さすがね。
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雪丗(プロフ) - こっちゃむさん» そうなんです…安室さんにまで頼ったのに…。しょぼーん…です。癒しをー!頑張ったね!ってわしゃわしゃしてくれる方募集します(笑)ありがとうございます!続編もよろしくお願いします!(*^^*) (2019年6月20日 22時) (レス) id: 6ba5bde614 (このIDを非表示/違反報告)
こっちゃむ(プロフ) - 夢主さんのふんだりけったりな感じ、いろいろと切ないですね(TT) 安室さんにまで協力要請して頑張ったのに!最終的に赤井さんに怒られるという… 誰か、癒してあげてー!と叫びたくなりました。続編も引き続き応援させて頂きますからね!よろしくお願いします!(^^) (2019年6月20日 19時) (レス) id: d587bb3c17 (このIDを非表示/違反報告)
雪丗(プロフ) - 桜ひかりさん» 応援ありがとうございます。頑張らせて頂きます! (2019年6月4日 23時) (レス) id: 6ba5bde614 (このIDを非表示/違反報告)
桜ひかり(プロフ) - 夢主切ないなぁ…更新楽しみにしてます!!ファイトです!!! (2019年6月4日 18時) (レス) id: d8f09a7a12 (このIDを非表示/違反報告)
雪丗(プロフ) - 新玲乃音元iqqvyuuさん» 毎回コメントありがとうございます。励みになっております。更新がのろまですが頑張ります。 (2019年4月24日 0時) (レス) id: 6ba5bde614 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪丗 | 作成日時:2019年4月5日 0時