貴方のために出来ること〜もう一つの未来へ〜 part.7【名探偵コナン】

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「A、飯だぞ」


『みゃー！(ごはーん！)』


体もニット帽から出して咥える。ぴょーんと秀一目掛けて跳べば、受け止めてくれた。ふふふ、すきー。って胸元に頭を擦り付ける。


甘える私の首裏を撫でながら、秀一は「返してもらうぞ」と咥えてるニット帽を回収。だが


「……どうしたらこうなるんだ？」


『み？』


秀一の言葉に擦り付けていた頭を上げる。私の顔を見たあと視線が横に逸れていったので、同じ方へ顔を向けてみれば


『……みゃぁ(……ありゃま)』


ニット帽の内側に私の毛が付いてる。結構多目に。やべぇ……禿げた？ってそっちの方が気になって、秀一の片腕から落ちないようにくるくる回ったり、片足上げたりしながら自分の体を見る。禿げてるところなさそう。よかった。


もう一度ニット帽へ顔を向けて、片手を伸ばす。毛を取ろうと爪で引っ掻けてみるが、取れるはずもなく断念。とりあえず


『みぅ(秀一の匂いに包まれて寝てた)』


正直に申告。伝わったかはわからんけど。困ったような顔をしながら「これは無理だな。ガムテープでもないと……」と被ることを諦めた。まあそうね。このまま被るのはちょっとね。と同意。


ピクニックに来たみたいにレジャーシートを広げ、その上にお弁当を広げていく明美さん。秀一もその上に座る。私は座った秀一の膝の上に座る。


明美さんが秀一用の食べ物を取り皿に分けてくれてる間、秀一はポケットから私のご飯を取り出す。スティック型のご飯。封を開ければ、目の前に出される。それをじっと見ながら


『みぃ？(最近これ多いね？)』


「ん？イヤか？」


『みゃう(そんなことないけど)』


「CMが流れる度に、尾を揺らしたり歌ってるだろう？気に入ったんだと思ってたんだが？」


食べたくて歌ってたわけではないんだよ。ただたまーに、頭から離れない曲ってあるよね。それが私にとって、この曲だっただけなんだけど……。


CMが流れる度に歌ってたのも、何かやってるときに鼻歌を奏でたのも、ほとんど無意識だ。歌ってることに気付くと、またこの曲か……たまには違うのに変わんないのかね？と内心で自分に聞いたりする。でもまた歌ってるんだわ。私の脳みそ、めっちゃ頑なだよ。全然ダメ。


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