検索窓
今日:29 hit、昨日:22 hit、合計:29,239 hit

ページ36

ar side .



「…ほら、やっぱり…大ちゃんはなんにも分かってない」

「え…?」


伊野ちゃんの透き通った綺麗な瞳に、思わず吸い込まれそうになった。


「…俺のことこんなに泣かせるのも、苦しませるのもっ…今までも、これからも…大ちゃんだけ、なんだよっ…?」

「…いの、ちゃ…」

「…俺が、心から好きだって思えるのもっ、ずっと……大ちゃんだけ、だからっ……」


そのくらい分かれよ…と小さく鼻をすする姿があまりにもいじらしくて、愛おしくて。

…ああ、こんなに素直で可愛い子をなに泣かせてるんだろうって、胸がズキズキと傷んで目頭が熱くなった。


「…ごめん。俺、ずっと伊野ちゃんに委ねてばっかりだったね。伊野ちゃんの気持ち考えずに…無神経だった。…本当に、ごめん…」

「…ううん、俺こそ…酷いことたくさん言ってごめんね」

「っ…伊野ちゃんは、何にも悪くないよ…」


…多分、俺今すげえ情けない顔してる。
そんな俺を見て、ふふっ、と小さく笑う伊野ちゃん。


「…?なに、」

「…大ちゃんって、泣くんだなぁって」

「…泣くよ、普通に…

……伊野ちゃんと別れた時も…泣いたし、」

「……そっか。

じゃあ…おあいこ、だね」


…伊野ちゃんも、あの時泣いてたんだ…

気付かなくてごめんね。
ずっと、苦しい思いさせてごめん。


「…慧、」

「…ん?」


付き合っていた頃、ずっと言えなかった言葉___


「好きだよ」

「!?…は、なに…急に、」

「…ダメ?」

「っ…だめじゃ、ない…けど…」

「すげー好き。もう離したくない。てか離さない」

「〜〜っ!!そんな、!…真っ直ぐ、目見て言わないでよっ……恥ずかしい、」

「だーめ、逸らさないで。今まで言えなかったの後悔してるんだから、これからはたくさん言うよ」


顔を背けようとする伊野ちゃんの頬っぺたを両手で包み込んで、涙で濡れた大きな瞳と視線を合わせると、みるみる赤く染ってゆく頬。


「ぅっ…だ、大ちゃんきらいっ」

「…ほんとに?」

「っ……もおっ、…うそ。俺も、ちゃんと好きだもん」

「ふふっ…嬉しい。

…ねえ、また俺の恋人になってくれる?」

「当たり前じゃんっ…俺は、昔も今も大ちゃんしかいないんだから」

「…うん、俺も」


…ずっと、後悔してた。

変なプライドで気持ちが素直に伝えられなかった。
伊野ちゃんの気持ちを分かってあげられなかった。

そんな自分が情けなくて、悔しくて。

…もう、大切な人に悲しい思いはさせたくない。


だから、これからは何度だって伝えるよ。


「大好きだよ、慧」


小さく微笑んだ君に、そっとキスをした。






ユーカリの花言葉 ... " 再生 "

「ユーカリ」後日談&余談→←*



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (65 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
162人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

にゃるる - 返信ありがとうございます泣泣 新垢待ってますっ!!!またむにこめさんのお話が読める日を楽しみにしております(≧∀≦) (1月13日 23時) (レス) id: 9df1e97525 (このIDを非表示/違反報告)
むにこめ(プロフ) - にゃるるさん» お話気に入っていただいて嬉しいです、ありがとうございます…!アカウント突然消してしまい申し訳ありません。移行先はまだ作っていないので、出来次第お知らせさせていただきますね。ar王子とinも少し加筆修正して載せる予定ですので、もう暫くお待ちくださいm(_ _)m (1月9日 17時) (レス) id: 467faef54a (このIDを非表示/違反報告)
にゃるる - むにこめさんのarin作品大好きです泣 話は変わって申し訳ないのですがTwitterのアカウントが消えてしまったみたいなのですが、移行先のアカウントを教えていただくことは可能ですか?泣 Twitterの方で読んでいた王子arとinのお話もまた読みたくて... (1月3日 2時) (レス) id: 9985c4f555 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:むにこめ | 作成日時:2023年3月19日 15時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。