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ar side .
「…ほら、やっぱり…大ちゃんはなんにも分かってない」
「え…?」
伊野ちゃんの透き通った綺麗な瞳に、思わず吸い込まれそうになった。
「…俺のことこんなに泣かせるのも、苦しませるのもっ…今までも、これからも…大ちゃんだけ、なんだよっ…?」
「…いの、ちゃ…」
「…俺が、心から好きだって思えるのもっ、ずっと……大ちゃんだけ、だからっ……」
そのくらい分かれよ…と小さく鼻をすする姿があまりにもいじらしくて、愛おしくて。
…ああ、こんなに素直で可愛い子をなに泣かせてるんだろうって、胸がズキズキと傷んで目頭が熱くなった。
「…ごめん。俺、ずっと伊野ちゃんに委ねてばっかりだったね。伊野ちゃんの気持ち考えずに…無神経だった。…本当に、ごめん…」
「…ううん、俺こそ…酷いことたくさん言ってごめんね」
「っ…伊野ちゃんは、何にも悪くないよ…」
…多分、俺今すげえ情けない顔してる。
そんな俺を見て、ふふっ、と小さく笑う伊野ちゃん。
「…?なに、」
「…大ちゃんって、泣くんだなぁって」
「…泣くよ、普通に…
……伊野ちゃんと別れた時も…泣いたし、」
「……そっか。
じゃあ…おあいこ、だね」
…伊野ちゃんも、あの時泣いてたんだ…
気付かなくてごめんね。
ずっと、苦しい思いさせてごめん。
「…慧、」
「…ん?」
付き合っていた頃、ずっと言えなかった言葉___
「好きだよ」
「!?…は、なに…急に、」
「…ダメ?」
「っ…だめじゃ、ない…けど…」
「すげー好き。もう離したくない。てか離さない」
「〜〜っ!!そんな、!…真っ直ぐ、目見て言わないでよっ……恥ずかしい、」
「だーめ、逸らさないで。今まで言えなかったの後悔してるんだから、これからはたくさん言うよ」
顔を背けようとする伊野ちゃんの頬っぺたを両手で包み込んで、涙で濡れた大きな瞳と視線を合わせると、みるみる赤く染ってゆく頬。
「ぅっ…だ、大ちゃんきらいっ」
「…ほんとに?」
「っ……もおっ、…うそ。俺も、ちゃんと好きだもん」
「ふふっ…嬉しい。
…ねえ、また俺の恋人になってくれる?」
「当たり前じゃんっ…俺は、昔も今も大ちゃんしかいないんだから」
「…うん、俺も」
…ずっと、後悔してた。
変なプライドで気持ちが素直に伝えられなかった。
伊野ちゃんの気持ちを分かってあげられなかった。
そんな自分が情けなくて、悔しくて。
…もう、大切な人に悲しい思いはさせたくない。
だから、これからは何度だって伝えるよ。
「大好きだよ、慧」
小さく微笑んだ君に、そっとキスをした。
ユーカリの花言葉 ... " 再生 "
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にゃるる - 返信ありがとうございます泣泣 新垢待ってますっ!!!またむにこめさんのお話が読める日を楽しみにしております(≧∀≦) (1月13日 23時) (レス) id: 9df1e97525 (このIDを非表示/違反報告)
むにこめ(プロフ) - にゃるるさん» お話気に入っていただいて嬉しいです、ありがとうございます…!アカウント突然消してしまい申し訳ありません。移行先はまだ作っていないので、出来次第お知らせさせていただきますね。ar王子とinも少し加筆修正して載せる予定ですので、もう暫くお待ちくださいm(_ _)m (1月9日 17時) (レス) id: 467faef54a (このIDを非表示/違反報告)
にゃるる - むにこめさんのarin作品大好きです泣 話は変わって申し訳ないのですがTwitterのアカウントが消えてしまったみたいなのですが、移行先のアカウントを教えていただくことは可能ですか?泣 Twitterの方で読んでいた王子arとinのお話もまた読みたくて... (1月3日 2時) (レス) id: 9985c4f555 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:むにこめ | 作成日時:2023年3月19日 15時