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ar side .
想いを言葉にするのが怖かった。
「大ちゃんが何考えてるのか分かんないっ…!
…もう、こんな思いすんの、嫌だっ…」
素直な気持ちを受け入れてくれるか不安だった。
「……じゃあ、もう別れる?」
本気で言ったわけじゃなかった。
"別れたくない"って、ただ泣いて縋って欲しかった。
でも、その僅かな期待は彼に届かず…
「…そうだね、別れよっか」
静かに扉の外へ出ていく伊野ちゃんの顔は、視界がぼやけてよく見えなかった。
. . .
5年後____
別れて数ヶ月はお互いギクシャクしていたけれど、流石に5年も経つと、恋人になる前のように普通に話せるようになった。
…でも、俺は…
もう俺のことは意識してないであろう、その淡々とした態度が寂しく思える程…
____俺はまだ、伊野ちゃんのことを思い続けている。
久々のBEST会でたまたま隣の席になった伊野ちゃん。
お酒を飲んで少し赤く染まった頬、料理を美味しそうに頬張るプルプルな唇、首元が広く空いた服から見える胸元…
…このまま近くにいたら、気が狂ってしまいそうだった。
煩悩を消すため、飲むペースを早めた。
前に座るひかとたかきと話していたはずなのに、途中から記憶はほとんどない。
…なんだかいい夢を見た気がした。
伊野ちゃんが俺を支えて、家まで送ってくれて、手を繋いで朝まで一緒にいてくれる…そんな都合のいい夢。
こんなこと、現実じゃ絶対に有り得ない。
あるはず、ない……
「…はっ、!?…い、伊野ちゃっ……えっ!!?」
…なんで、どうして
カーテンの隙間から差し込む光に目を覚ますと、隣にはベッドに頭を伏せスヤスヤと眠る元恋人の姿。俺の声に気付くと、目を擦りながら記憶ないの?と。
夢じゃなかったの…!?
…俺、伊野ちゃんに何か変なことしてないよね…?
思わずそう聞くと、顔を歪ませ帰ろうとする伊野ちゃんを必死に呼び止めた。
折角、久々に2人っきりになれたのに…このまま帰したくなんかないよ…
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にゃるる - 返信ありがとうございます泣泣 新垢待ってますっ!!!またむにこめさんのお話が読める日を楽しみにしております(≧∀≦) (1月13日 23時) (レス) id: 9df1e97525 (このIDを非表示/違反報告)
むにこめ(プロフ) - にゃるるさん» お話気に入っていただいて嬉しいです、ありがとうございます…!アカウント突然消してしまい申し訳ありません。移行先はまだ作っていないので、出来次第お知らせさせていただきますね。ar王子とinも少し加筆修正して載せる予定ですので、もう暫くお待ちくださいm(_ _)m (1月9日 17時) (レス) id: 467faef54a (このIDを非表示/違反報告)
にゃるる - むにこめさんのarin作品大好きです泣 話は変わって申し訳ないのですがTwitterのアカウントが消えてしまったみたいなのですが、移行先のアカウントを教えていただくことは可能ですか?泣 Twitterの方で読んでいた王子arとinのお話もまた読みたくて... (1月3日 2時) (レス) id: 9985c4f555 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:むにこめ | 作成日時:2023年3月19日 15時