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in side .



「はいどーぞ」

「…ありがとう」


大ちゃんが丁寧にいれてくれたコーヒーを一口飲んで、何気なく部屋を見渡した。


…大ちゃんの部屋、相変わらず綺麗にしてあるな

ちょっと家具の配置変わってる
あんな椅子前無かったよな
あの置物、大ちゃん好きそう


…俺と別れてから、誰かこの部屋に入ったかな

あのソファで、大ちゃんの隣に誰か座ったのかな

この、ふかふかで気持ちいいベッドで……


考えたくないのに、どんどん嫌な方向に沈んでゆく気持ち。

…もう、限界だ


「何しよっか。あ、映画でも見る?」

「…大ちゃんさあ、」

「ん?」

「……新しい人、できた?」


…聞いてどうするんだ
でも、ずっとモヤモヤ考え込むのは正直辛い

もしいたら、さっぱり諦める

…でももし、いなかったら…?


「いないよ、そんな人」

「…!」


こんなことで不覚にも喜んでしまう自分が悔しい。

…じゃあ、今の大ちゃんはまだ、誰のものでもない…?


「…伊野ちゃんは?」

「…え?」

「いるの?いい人」


いるわけないじゃん、って答えると、あからさまに顔を逸らされてしまった。
そんな態度の大ちゃんに、なんだかムッとした。


「…というか、愚問だよね。

…大ちゃん以上にいい男なんて…いるわけないじゃん…」


いない、いるわけない。
大ちゃん以外となんて、もう考えられない。

そんなこと思ったって、もう時間は戻せないけど…

…嫌だな…こんな気持ち、早く忘れたいのに…

やっぱり早めに帰ってしまおうかと思った時、大ちゃんから突然投げかけられた質問。


「伊野ちゃんは、なんで…

…なんで、俺と別れたの?」


「…え」


それを大ちゃんが聞くの…!?
そんなの、こっちが聞きたいよ…!

…なんでって…だって、俺はただ……



____ " 別れる? "



「…だって……大ちゃんが、別れようって言ったから…」



それ以上でも以下でもない。

ただ、大ちゃんの中で面倒臭い元彼という立場になりたくなかった。すんなり受け入れるから、せめて嫌われないようにって……


「……は?」


大ちゃんの低い声に、一瞬で空気がピリつく。
顔を上げ、恐る恐るその表情を確かめた。


「…!」


…なんで、

ねえ、なんでなんだよ

…別れようって言ったのは、大ちゃんなのに


なんで君が、そんなに苦しそうな顔をするの…?





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にゃるる - 返信ありがとうございます泣泣 新垢待ってますっ!!!またむにこめさんのお話が読める日を楽しみにしております(≧∀≦) (1月13日 23時) (レス) id: 9df1e97525 (このIDを非表示/違反報告)
むにこめ(プロフ) - にゃるるさん» お話気に入っていただいて嬉しいです、ありがとうございます…!アカウント突然消してしまい申し訳ありません。移行先はまだ作っていないので、出来次第お知らせさせていただきますね。ar王子とinも少し加筆修正して載せる予定ですので、もう暫くお待ちくださいm(_ _)m (1月9日 17時) (レス) id: 467faef54a (このIDを非表示/違反報告)
にゃるる - むにこめさんのarin作品大好きです泣 話は変わって申し訳ないのですがTwitterのアカウントが消えてしまったみたいなのですが、移行先のアカウントを教えていただくことは可能ですか?泣 Twitterの方で読んでいた王子arとinのお話もまた読みたくて... (1月3日 2時) (レス) id: 9985c4f555 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:むにこめ | 作成日時:2023年3月19日 15時

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