Bouquet. 2 ( ar×in shortstory )

アンズ ページ17

※微裏あり
※モブ→『』


in side .



〈有岡大貴×伊野尾慧 初のBLドラマでW主演〉


駅前に大きく張り出された看板には、そんなキャッチフレーズと、スーツを着てお互いを見つめる主演2人の姿。その周りでは、ファンであろう女性数名が写真撮影をしている。


…うっわ〜、こんなにデカいんだあの広告…実際に見てみると流石に恥ずかしいなあ

プライベートでたまたま通りかかりそれを一目見ては、バレないようにそそくさとその場を後にした。



大人気グループのメンバー2人がW主演、しかも深夜帯といえどBLドラマに出演するという事実に、世間でも騒がれていて。共演者の方やスタッフさんからもその話題は必ずと言っていいほど出される。

だが、この状態に1番驚いているのは他でもない
主演の1人、伊野尾慧……俺自身だった。


初めにオファーがきたときは、正直断ろうかと思った。そして大ちゃんも絶対断ると思った。だって、俺とこういう内容…無理でしょ、大ちゃんは。

それなのに、大ちゃんは２つ返事でOKを出した。


それからあれよあれよと話は進み、キービジュアル撮影や情報番組からの取材も終え、今日は撮影初日。大ちゃんと一緒にクランクイン。

…あれ…？なんでこうなったんだっけ…


｢…ちゃん……伊野ちゃんっ！｣

｢うわっ！びっ…くりした〜、やめてよ急に脅かすの｣

｢伊野ちゃんがぼーっとしてるからでしょ。
ほら、呼ばれてるから行くよ｣

｢…ああ、うん…｣


…大ちゃんはいいよ。演技上手いし、役への入り込み凄いし、メンバーの俺とのラブシーンも、割り切ったらそこまで気まずくないんでしょ。


…でも、俺はちがう


俺は、大ちゃんのこと……そういう目で見てるから


いつからか正確には覚えてないが、一緒に過ごす時間が増えるうちに、自然と大ちゃんに惹かれていった。

…俺の気持ちを知ったら、大ちゃんはどう思うのかな…



｢伊野ちゃん…？大丈夫？｣

｢…うん、大丈夫だよ？｣

｢…そ。まあ…色々、見た人の反応とか怖いけどさ…決まったからには、いいドラマにしよーな！｣

｢…そうだね。大ちゃんの足引っ張んないように頑張るわ｣

｢ははっ、俺も伊野ちゃんに呑まれないように頑張ろっ｣


…大ちゃんの、ばーか

こっちは周りの反応より、
今、平常心を保つのに精一杯だっつーの



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