Bouquet. 2 ( ar×in shortstory )

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ar side .



____数日前、いのちゃんからアフターに誘われた。


いつもは食事やカラオケに行くことが多いが、今回は先月も1番頑張ってくれたいのちゃんへのお礼も兼ねて、ホテルに誘ってみた。


｢えっ…ここ、｣

｢俺とじゃイヤ？｣


手を繋ぎ、下から顔を覗き込んでそう問うと、物凄い勢いで顔を左右に振るいのちゃん。行こ、と手を引けば、たどたどしくも歩き出した。


いのちゃんの後にシャワーを浴び終わり、ベッドでうずくまっている彼の隣に座ってキスをした。

キスは、今までにも何度かしてきた。でも体を繋げるのは初めて。1度したらもう来なくなってしまうお客さんもいるから、初めは慎重に。

深いキスをしながらゆっくりと押し倒す。
ブラウスのボタンを外しながら、両腕で顔を隠すいのちゃんに声を掛けた。


｢ね、顔隠さないでいのちゃん｣

｢やっ、だぁ…恥ずかし、｣

｢ほーら｣


…意外と恥ずかしがり屋なんだな
前の店のホストとかとやってきてないの？


不思議に思いつつも両腕を頭の上に移動させてやると、見えた顔は案の定真っ赤に染まっていて。

お酒飲んだ時は表情1つ変わらないのに…やっぱ男でも普通にかわいいな

まじまじと見つめていたら、顔をどんどん歪ませるいのちゃん。

あれ…？


｢っや、やっぱり…

やっぱり無理っっ！！！｣

｢は、っ！？ちょっ、｣

｢ごめんなさいっ…！！｣


いきなり胸板を痛いくらいに押し返されて、いのちゃんは乱れた格好を整えもせず、扉の外へ走って行ってしまった。


｢………まじ？｣


…今まで、ホテルまで来て抱けない子なんていなかった。

男とは一度も経験はないが、ゲ イの知り合いがいるからやり方も何となく分かる。男でもあの美人なら抱けると思った。それなのに…

上裸のまま1人ベッドに取り残されるなんて、人生で初めてだった。


｢…なんなんだよ、一体…｣


あんなに俺にお金を使ってくれていたのに

あんなに俺を愛しそうに見つめていたくせに


…こんな仕打ち、No.1としてのプライドが許さない。


こうなったら、意地でもいのちゃんを抱いてみせる…！


ホストとして…男として、プライドを傷つけられて変なスイッチが入ってしまった。



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