6話 ページ6
入学式が終わると、僕はすぐに彼女を捜しに大学内を走った。
途中途中で女の子から声を掛けられたりしたけど、そんなのに付き合ってる暇はない。
…見つからない。それもそうだ。
この大学はたくさんの学部があり、在籍学生数だって千単位なんだ。無作為に捜したって見つかりっこない。
でも、僕は。彼女の姿を遠目からでも捕らえることができたなら。
間違いなく、彼女だとわかると思う。
ただの勘だけれど。本能がそう叫んでいる。
走った。周りからの奇異な視線も気にせず。ただただ彼女を捜した。
早く、早く、早く…。早く、見つけないと。
「あの新入生代表の挨拶してた子、すごく可愛かったねー。」
「本当に!一瞬モデルさんかと思ったもん。」
「あの子、法学部らしいよ。」
「法学部かー。知的そうだったもんね。」
新入生代表の挨拶をしてた子…間違いない、彼女だ。法学部だったんだ…。
彼女のことについて話していた二人組の子達に心の中で感謝すると僕は法学部に向かって走った。
行ったからといってAに会えるという保障があるわけじゃない。
でも。僅か0.01%の確率にだって、僕は縋りたいんだ。
.
.
法学部まで来た甲斐があったのか。
僕は、彼女を見つけることができた。
一人淡々と歩く姿があまりにも凛々しくて目を奪われた。周りの人達も視線は彼女に釘付けだった。
三年前に忽然と姿を消した彼女が今、目の前にいる。
あれだけ必死に捜した人物があまりにも呆気なく見つかったものだから、これは夢なんじゃないかって錯覚した。
もしかしたら僕の気持ちを神様が汲み取ってくれたのかもしれない。
気づけばまた、一筋の涙が頬を伝っていた。
温くてしょっぱい水が僕の瞳から零れた。
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白霞(プロフ) - いちごアメさん» 応援のお言葉ありがとうございます。面白いとも言って頂けて嬉しい限りですございます。最後まで閲覧頂きありがとうございました! (2020年8月19日 17時) (レス) id: 7828c1c33e (このIDを非表示/違反報告)
いちごアメ - とっても面白いです!!これからも頑張ってください (2020年8月18日 21時) (レス) id: 77a7bd0b14 (このIDを非表示/違反報告)
白霞(プロフ) - つぶやき星のつぶやき女さん» そんな風に言って頂けて光栄の極みでございます!素晴らしい作品だなんて畏れ多い…!最後まで閲覧頂きありがとうございました! (2020年8月18日 12時) (レス) id: 7828c1c33e (このIDを非表示/違反報告)
つぶやき星のつぶやき女 - す、素晴らしい!泣きました。とても面白い、悲しい?ような気がして面白かったです。(伝わらないような気がする。語彙力無くて、すいません!)とにかく素晴らしい作品でした。お疲れ様でした。 (2020年8月17日 21時) (レス) id: 9c9562d775 (このIDを非表示/違反報告)
白霞(プロフ) - くれーぷさん» そのように言って頂けて嬉しい限りです!こちらこそ閲覧ありがとうございました! (2020年7月28日 19時) (レス) id: 7828c1c33e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白霞 | 作成日時:2020年7月26日 0時