36話 ページ36
無意識に口をついて出た言葉だった。ただ、はにかむように笑う彼女を誰にも渡したくないと、そう心に強く思った。
二人で幸せも苦労も悲しみも。全部全部半分こにさせて欲しい。
君の背負うものを、僕も一緒に背負いたい。
告白することがこんなにも恥ずかしいだなんて思わなかった。心臓が早鐘打って身体中が熱い。
Aの顔がみるみる赤らむ。どんどんその雪肌を赤く染め上げていく。
でも、同じくらい今の僕は熟れた林檎の如く真っ赤に染まっているんだろう。
「わ、私は、」
ぎゅっとベッドのシーツを握り締めてAが絞り出すように言った。
心臓がどくどくと音を立てる。隣にいる彼女に聞こえているんじゃないかって不安になるくらい。
「……まだ、全然記憶が取り戻せてない。でも、無一郎のことが心の底から大切だって思うの。
多分、これが、恋…なんだと思う。
…私なんかに、貴方の隣にいられる資格があるなら…宜しくお願いします…っ」
耳まで赤く染まった顔を隠すようにAは両手で顔を覆った。しかしその手はすぐに僕によって引き剥がされた。
「隠さないでよ。」
「む、無理…恥ずかしい…。」
「僕は嬉しいよ。今ならなんだってできそうなくらい。」
「ちょ、近い…！」
顔をずいっと近づけるとこれ以上ないくらい赤らんだ顔が更に更に赤くなる。
そっとAの頬に両手を添える。Aは口をパクパクさせて声にならない叫びを上げていた。
＿＿愛おしい。守りたい。全てを捧げても良いって思える。
「ね、キスしても良い？」
「あ、え…。」
唇と唇がほんの僅かの距離にある。
Aの長い髪を指に絡める。
「無言は肯定って取って良いの？」
「…………ん、うん……。」
ギシリ、とベッドが軋む。
一緒にいられなかった三年分を取り返すように、そっと。
僕は彼女に口付けた。
彼女に触れている部分が熱くて仕方ない。
甘い。今にも溶けてしまいそうだ。
それから貪るように、何度も何度も唇を重ねた。
蜂蜜色の夕陽だけが、僕らのことを見守っていた。
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白霞(プロフ) - いちごアメさん» 応援のお言葉ありがとうございます。面白いとも言って頂けて嬉しい限りですございます。最後まで閲覧頂きありがとうございました！ (2020年8月19日 17時) (
レス) id: 7828c1c33e (このIDを非表示/違反報告)
いちごアメ - とっても面白いです！！これからも頑張ってください (2020年8月18日 21時) (レス) id: 77a7bd0b14 (このIDを非表示/違反報告)
白霞(プロフ) - つぶやき星のつぶやき女さん» そんな風に言って頂けて光栄の極みでございます！素晴らしい作品だなんて畏れ多い…！最後まで閲覧頂きありがとうございました！ (2020年8月18日 12時) (レス) id: 7828c1c33e (このIDを非表示/違反報告)
つぶやき星のつぶやき女 - す、素晴らしい！泣きました。とても面白い、悲しい？ような気がして面白かったです。(伝わらないような気がする。語彙力無くて、すいません!)とにかく素晴らしい作品でした。お疲れ様でした。 (2020年8月17日 21時) (レス) id: 9c9562d775 (このIDを非表示/違反報告)
白霞(プロフ) - くれーぷさん» そのように言って頂けて嬉しい限りです！こちらこそ閲覧ありがとうございました！ (2020年7月28日 19時) (レス) id: 7828c1c33e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白霞
| 作成日時：2020年7月26日 0時
