33話 ページ33
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風が窓から入り込んで飾られている花が揺れる病室で、目を覚まして早々、お母さんから全ての真実を告げられた。
お父さんのこと。
時透君のこと。
私の昔のこと。
記憶喪失のこと。
あまりにも衝撃が強すぎて、私の頭はショート寸前だったと思う。
でも、泣きながら私に謝ってくれるお母さんを見て、これは全部私を守る為にしてくれたんだなってわかった。
今までどれだけお母さんが一人で苦しんでいたのか、一人でたくさんのことを抱え込んでいたのかは分からないけれど。
私は、それを一緒に背負いたい。
「……ありがとう、お母さん…。話してくれて。」
「……っごめんね、もっと早くに言っておくべきだったのに…。」
涙を流すお母さんにそっとハンカチを差し出した。お母さんはありがとう、と言ってそれを受け取る。
お母さんはしばらく見ない間に随分とやつれてしまった。目の下の隈がそれを物語っている。
「…こうして、きちんと話してくれたじゃない…良いの、気にしなくて。
…ありがとう。私のこと、守ってくれて。」
お母さんは涙でぐちゃぐちゃになった顔で泣きながら笑っていた。
「……ありがとう、A……。」
__貴方は私の自慢の娘よ。
そう言われた時は、思わず堪えていた涙を流してしまった。
きっと心の中では不安だったの。お母さんが真実を話してくれない理由は、私が信頼されてないからじゃないかって。
でも、今はもう大丈夫。
私達は信頼し合えている、唯一無二の母娘だから。
背中を摩ってくれる手がこんなにも優しく感じたことは、多分初めてだと思う。
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白霞(プロフ) - いちごアメさん» 応援のお言葉ありがとうございます。面白いとも言って頂けて嬉しい限りですございます。最後まで閲覧頂きありがとうございました! (2020年8月19日 17時) (レス) id: 7828c1c33e (このIDを非表示/違反報告)
いちごアメ - とっても面白いです!!これからも頑張ってください (2020年8月18日 21時) (レス) id: 77a7bd0b14 (このIDを非表示/違反報告)
白霞(プロフ) - つぶやき星のつぶやき女さん» そんな風に言って頂けて光栄の極みでございます!素晴らしい作品だなんて畏れ多い…!最後まで閲覧頂きありがとうございました! (2020年8月18日 12時) (レス) id: 7828c1c33e (このIDを非表示/違反報告)
つぶやき星のつぶやき女 - す、素晴らしい!泣きました。とても面白い、悲しい?ような気がして面白かったです。(伝わらないような気がする。語彙力無くて、すいません!)とにかく素晴らしい作品でした。お疲れ様でした。 (2020年8月17日 21時) (レス) id: 9c9562d775 (このIDを非表示/違反報告)
白霞(プロフ) - くれーぷさん» そのように言って頂けて嬉しい限りです!こちらこそ閲覧ありがとうございました! (2020年7月28日 19時) (レス) id: 7828c1c33e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白霞 | 作成日時:2020年7月26日 0時