20話 ページ20
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「ねぇ、週末暇?」
「…?うん、暇だよ。」
「じゃあここ行かない?」
僕はAをある場所に誘った。
そこは中三の冬、僕とAが最後に一緒に行った場所だった。
Aは僕が差し出したチケットを見るとまるで幼子のように目を輝かせた。
「遊園地…!」
「そう。ここは中三の冬に二人で行った場所だからなにか思い出せるかもしれないし。」
「そうなんだ…。」
Aは嬉しそうに笑っていた。記憶の手がかりが見つかるか見つからないか関係なく、ただ純粋に楽しみにしている、そんな笑顔だった。
「それにしても二人で遊園地に行ったことがあるだなんて…私達、余程の仲良しだったの?」
確かにそう聞かれても仕方ないと思う。
いくら幼馴染だろうと男女二人きりで遊園地に行くだなんて、 相当仲が良いのかはたまた恋人同士かのどちらかだ。
僕らは多分、仲の良い幼馴染だったと思う。
……恋人同士だったら良かったのに。
遊園地にAを誘ったあの日は今でも忘れられない。チケットがたまたま二枚手に入ったからと言うと「じゃあ有一郎と行きなよ」と返されてしまい、何とか上手く言いくるめて連れ出したのだから。
あの時協力してくれた兄さんには今でも頭が上がらない。
「僕達は、仲良しだったよ。すごく。」
だから、こうやって返す他ならない。
「…そっか。」
__思い出せなくて、ごめんね。
Aが心の中で、そう呟いたような気がした。
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白霞(プロフ) - いちごアメさん» 応援のお言葉ありがとうございます。面白いとも言って頂けて嬉しい限りですございます。最後まで閲覧頂きありがとうございました! (2020年8月19日 17時) (レス) id: 7828c1c33e (このIDを非表示/違反報告)
いちごアメ - とっても面白いです!!これからも頑張ってください (2020年8月18日 21時) (レス) id: 77a7bd0b14 (このIDを非表示/違反報告)
白霞(プロフ) - つぶやき星のつぶやき女さん» そんな風に言って頂けて光栄の極みでございます!素晴らしい作品だなんて畏れ多い…!最後まで閲覧頂きありがとうございました! (2020年8月18日 12時) (レス) id: 7828c1c33e (このIDを非表示/違反報告)
つぶやき星のつぶやき女 - す、素晴らしい!泣きました。とても面白い、悲しい?ような気がして面白かったです。(伝わらないような気がする。語彙力無くて、すいません!)とにかく素晴らしい作品でした。お疲れ様でした。 (2020年8月17日 21時) (レス) id: 9c9562d775 (このIDを非表示/違反報告)
白霞(プロフ) - くれーぷさん» そのように言って頂けて嬉しい限りです!こちらこそ閲覧ありがとうございました! (2020年7月28日 19時) (レス) id: 7828c1c33e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白霞 | 作成日時:2020年7月26日 0時