それは突然に

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試合当日。
あかりちゃんと最寄り駅で待ち合わせをした。

駅に着くと先にあかりちゃんが待っていた。
ピンクのフリフリのワンピースを着て
いかにもあかりちゃんらしい格好だ。



『あかりちゃん！
久しぶり！ごめんね、待たせちゃって』


「全然待ってないですよ！Aさん今日も
お綺麗ですね。なんか、1ヶ月会ってなかった
だけなのに、すごい久しぶりな感じがする！」


『ほんとそうね！元気そうでよかった！
じゃあ行こっか』



たわいもない話をして、ドームまでの道のりを歩いた。こうして話していると、あかりちゃんが働いていた時を思い出し懐かしい気持ちになった。


ようやくドームに着くとあかりちゃんが


「そういえば私、Aさんにプレゼント持ってきたんです！はい、これ」


そう言われ、渡されたのはファイターズのユニフォームだった。後ろを見ると "９" の"NAKASHIMA" と書かれてあった。


『え……これって』

すると、あかりちゃんがニヤリとして

「Aさん、私が何も知らないとでも思ってます？私あの時見ちゃったんです、Aさんと中島選手が2人で楽しそうに話してるとこ！なんでなんも言ってくれないんですか！」


『え！あかりちゃん見てたの！ってまず、言うもなにもあの人とは何も無いから！それにあの日お互い酔っぱらってたし、相手が私のこと覚えてるかどうかもわからないじゃない』


「覚えてないわけないじゃないですか！だってAさん楽しかったんですよね？」


『まあ……そうね』


「だったら相手も楽しかったはずです！だから絶対覚えてます！これは私が自信を持って言えます！」


『なんであかりちゃんそんなに熱くなってるの(笑)』


「当たり前じゃないですか！大好きな先輩の恋の予感ですよ？ここは後輩が奮起しないでどうするんですか！」


『まあ、その気持ちだけ受け取っておく(笑)
でも、卓とは本当にそんなんじゃないから』


「じゃあ、ユニフォーム絶対に着てくださいね！今すぐにですよ！」


『はいはい(笑)』


仕方なく、卓のユニフォームに袖を通した。





彼とは1回だけ1日だけ会っただけの関係。
それ以上もそれ以下でもないただそれだけ。


でもただ１つ確かなことは、あの日あの時間が私にとってすごく楽しいひと時だったことだ。

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