それは突然に

◎22 ページ22

・




『おつかれさまでしたー』


今日もいつものように仕事を終えて
家に帰ろうと、準備をしていた。

すると、タイミングよくピコンと携帯が光り
誰かからメールの知らせが入った。


"中島です。連絡遅くなってごめん。
忘れてたわけじゃないから笑
元気にしとった？"


メールを開くとそれは紛れもなく卓からだった。
なんだかメールがきたこともすごく嬉しかったが
文章がなんだか彼らしくて、面白く笑ってしまった。


「Aさん、何笑ってるんですか？
もしかして彼氏からですか？」


『違うわよ、友達から』


緩む口元を抑えて、会社を後にした。

家に着いてからなんて返信すればいいんだろうまるで恋する乙女かのようにとしばらく考えていた。


返事を返すとすぐにメールがきた。


"今電話していい？"


ビックリしたが、私も卓と話したかったので
迷わず"いいよ"と返信した。


プルプルプル……


『もしもし』

「突然ごめん、仕事だったよね？なんかAと話したくなってさ」

『全然、卓こそ疲れてない？』

「今日はオフだったから全然平気」


なんだか付き合いたてのカップルかのような
会話でこんなの久しぶりでなぜかドキドキした。

それから卓の野球の話や、私のセクハラじみた上司の話とかいろんな話をした。



『あ！そういえばね今度西川選手とご飯食べに行く約束したんだ』

「…は？まさか2人きりとかじゃないやろ？」

『2人だけど？』

「そうなんや。まあ、楽しめよ。じゃあ俺明日も試合だし、そろそろ寝るわ、おやすみ」

『う、うん。がんばってね？おやすみ』



いきなり電話を切った卓。

なんか怒ってた…？私怒らせるようなこと言った？


楽しい気持ちが
一転してモヤモヤへと変わっていった。






・

◎23(side卓)→←◎21(side遥輝)

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す