それは突然に

◎21(side遥輝) ページ21

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それから鍵谷さんと拳士さんで
卓さんのことを散々冷やかしバカにしていた。


さすがに怒ったのか、卓さんが


『俺は別にあの子とどうしようとか全く思っとらんし、絶対向こうは俺のこと覚えてるわけないしもういいんだよ。しかももう会えんやろ』


絶対嘘。卓さんの目を見ればすぐにわかった。
なんでこの人はこんなにも素直じゃないんだろう。
正直ムカッときた。


『じゃあおれAちゃんのこと本気で狙っちゃおっかなー』


「いんじゃない？別に俺には関係ないし」


『ホンマに良いんすね？』


「好きにしろ」


その日から俺は本気でAちゃんのことを
何が何でも手に入れよう、そう決心した。



それから何日か経ち、高橋さんからAちゃんが
試合を見にきているということを聞かされた。


試合が終わり奥さんが俺のファンということも
あって俺と卓さんが呼ばれた。

卓さんは気づいていないようだが
Aちゃんもいるという予想がついた。



久しぶりに見るAちゃんはとても美しかった。

だが、卓さんと話す彼女の笑顔を見てああ彼女も
卓さんと同じ気持ちを抱いてるんだと感じた。



(今日を逃したら、一生後悔する)


話を聞くと、俺のことを覚えていてくれていた。
それだけでもすごく嬉しかった。
こんな気持ちを抱いたのはいつぶりだろうか。


意を決し、Aちゃんに連絡先を知りたいと
言うと快く承諾してくれた。


家に帰り、すぐにAちゃんに連絡をし
なんとか2人きりで食事に誘うことができた。



(がんばれ…俺。)






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