姫だけど、守りたい《2》

ウラルの過去 ページ42

昔のウラルは、人間だった
一応、私と同い年。今はちょうど中二にあたる

私が小一の頃の話だ。ウラルと出会ったのは
私が転校した頃、いじめが始まった頃


『サクラちゃんのお母さんってさー、お父さんのせいで死んじゃったんでしょー？』

『ありえなーい！』

ｻｸﾗ『…別に、あなた達には関係ないから』

『うっわ、何それ』

『サクラちゃんと関わったら、私達までお母さんが〜』


生きているのが辛かった。死んで、お母様やスミレの所に行こうかと、何回も考えた
でも、クラスに一人だけ、私に話しかけてくれる人がいた


ｳﾗﾙ『サクラさん、大丈夫？あんなの気にする必要ないよ？』

『ウラルくん…』


それが、 “山中ウラル”
そう、私達は小学校の同級生
ウラルは、積極的に私に話しかけてくれた
それが嬉しくて、いつの間にか親友になっていた

……けど、そんな幸せも長く続かなかった


ある日、学校の階段を降りていた私
そこにいじめっ子がやって来て、わざと私にぶつかった

…どうなるか、わかるでしょ？
私は、足を踏み外して階段から落ちそうになる
しかも、結構高いところから


ｻｸﾗ《あ、私、死ぬんだ…》


お母様や、スミレや、お父様に、会える
そう思ってた

でも…


ｳﾗﾙ『サクラさん！』


腕を捕まれ、踊り場へ投げ出される
何かと思って見てみれば、そこには…


ｻｸﾗ『ウラルくん！』


私のかわりに、階段から落ちたウラル
頭から大量の血が出ていて、どんなに呼んでも返事はない
さすがにいじめっ子も血相変えて慌てていた
この時は前世の記憶があった私。いじめっ子に圧を出して『先生を呼んでこい』と命令した
いじめっ子はすぐに職員室へ駆け出す


ｻｸﾗ『ウラルくん！ウラルくん！！』


……そのまま、山中ウラルは亡くなった




ｻｸﾗ『どうして…なの……』


ウラルは事故死とされ、いじめっ子は何の罪にも問われなかった
小一なのに、上手く逃れたらしい
でも、ウラルは帰ってこない…

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